鹿島オズワルド・オリベイラ監督(58)が、日本の新星をW杯の舞台へ後押しする。日韓プロリーグのオールスター対抗戦「JOMO杯」(8月8日、韓国・仁川)でJオールスターを指揮する同監督は6日、メンバー18選手を発表。10代で唯一、浦和MF山田直輝(19)を選出した。下部組織から今季トップ昇格したばかりの新人ながら、将来性を高く評価。来年6月開幕のW杯を見据えた「強化選手」として経験を積ませる考えを示した。

 オリベイラ監督は、山田の選出理由を問われると顔を紅潮させて、熱弁を振るった。記者会見の壇上でマイクを握り、身ぶり手ぶりを交えながら「ヤマダは日本の新星。将来、日本を代表する選手になる。この大会に参加することで、何かを経験することが、将来の日本のためにもなる」とひと息に語った。

 1年後にW杯を控える中で、既に出場権を手にしたライバル同士の直接対決。しかも、韓国・Kオールスターズには、GK李雲在や20歳の主力MF奇誠庸ら韓国代表14人がずらり。J王者監督として2年連続で「日本代表」を預かる者として、日韓両国の親善マッチ、で終わらせるわけにはいかない。「オールスターに出場する選手たちが、来年のW杯代表メンバーにも選ばれ、いい結果を出してくれると確信している」。

 ブンデスリーガからJ復帰したばかりの大久保や遠藤ら、昨年は選出しなかった代表クラスを加えた。5月のキリン杯でA代表に初招集された山田も「攻撃面が優れていると思われているが、守備時のポジショニングも素晴らしい。重要な選手になる」とアウェーでの真剣勝負で、経験を積ませたかった。

 JOMO杯と同時期に韓国でU-20(20歳以下)代表合宿が行われるが、原博実強化担当技術委員長は「山田は既にA代表にも選ばれているし、韓国と対戦できるチャンスを優先させたい」と招集しない方針。「両国のサッカーの発展とW杯への大きな成果を出したい」というオリベイラ監督の手腕に委ねる。昨年は1-3で惨敗した夏の祭典を、Jの威信をかけた「仮想W杯」として勝ちに行く。【山下健二郎】