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みぞれ酒に合う肴

穴子の焼霜造り<海鮮食彩 祇園 蕪屋>

蕪屋スタッフ  祇園花見小路の路地を曲がったところにひっそりある長屋を改築した。店名は久世佳史(くぜ・よしふみ)社長の実家の屋号から取った。南区で百姓だったという社長は、昔から馴染みのある農家や、その人脈を生かしたルートから素材を調達、すべて顔の見える料理を実践してきた。メニューにも、例えば「上賀茂田中氏作 冷やしトマト」といった表記が並ぶ。「安全」「安心」にこだわり、作り手の顔の見えない素材は使わないという信念が垣間見られる。

 特に「料理の味を分ける」という醤油と塩にこだわる。濃い口醤油は静岡の造り蔵、うす口醤油、たまり醤油は小豆島、塩は宮古島の天日塩のみを使う。また、ごま油は「味が違う」と京都の山田醤油以外は使わない。野菜は無農薬有機ものにこだわり、調味料のひとつひとつまで自分の舌で確かめ、惚れたものだけをとことん使う。店内の一角に、店で使う調味料などのパンフレットが置かれているのも、素材への愛情の現れだろうか。

 店で使うお酒も同様だ。玉乃光「みぞれ酒」は社長も認めた一杯。そしてその肴も完成された逸品のみ。この季節(初夏)に楽しい代表的な3品を作ってもらった。


究極の肴

穴子の焼霜造り

穴子の焼霜造り 夏の京料理の代表素材に「ハモ」が挙がり、中でも「焼霜造り」は有名だ。新鮮な穴子の皮部を炙り、旨さを引き出すためにあえて炙る。歯ごたえよく、焼き目を付けることで濃厚な味が引き出される。焼霜自体は炙り具合によって、味わいが変わる。シンプルな料理の割に料理人の技量が試される難しい一皿だ。

 これを「ハモ」ではなく、「穴子」で作ると言う。この穴子、鮮度にこだわり、その日朝、徳島沖で漁れた素材を即日便で取り寄せる。通常、夕方水揚げしたものを翌日出荷するが、半日鮮度が落ちてしまうのだ。

 「みぞれ酒はインパクトの強いお酒。それに負けない料理、生かし合う料理はそんなにないはず。魚は鮮度で変わるから、お客様に最高の料理を最高の鮮度で味わってもらいたい」と社長。この日も開店前に社長自ら洛内へ送られた穴子を取りに行く執念を見せた。

 穴子の持ち味は、どこまでも上品であること。透き通った穴子の白身をあえて焼き霜造りにして、素材の旨さを引き出す。皮目を焼くと、多少臭い風味が出るが、わさびを塗って、塩をパラパラ、ミョウガとともにいただくのもいい。

 皮目の表面の柔らかい舌触りと、レアな中身の歯ごたえ、2つの食感を楽しむことができる。しかも軽く炙られることによって穴子の脂が溶け、旨味が増す。新鮮な穴子だけにその旨みは濃厚で、口の奥でみぞれ酒と解け合う。何より氷の上に山盛り積まれた白身は百合のように美しい。古都の暑さを逃れ楽しむ最高の逸品と直感する。

鴨ロースの焼しゃぶしゃぶ

鴨ロースの焼しゃぶしゃぶ 鴨ロース独特の臭さを、鴨肉の脂を溶かすことで消して食べる逸品。「しゃぶしゃぶ」軽く焼いて、白髪ネギを巻き七味をかけていただく。

 合鴨のもも肉は、熱を通すことで鴨本来の甘さが際立つ。固くなく柔らかくなく絶妙の歯ごたえと、肉の甘みに存在感がある。これはビールより旨い日本酒が合う。そして、この季節。キンキンに冷えたみぞれ酒が、口の中で甘い鴨の余韻を包み込む。

 一方、ネギの細切りにプロの技が垣間見られる。美しく整えられた白髪ネギに、白梅町の長文屋 (ちょうぶんや)の七味を振る。素材を生かす端役までしっかり計算された、シンプルだが完成された逸品だ。間違いなく鴨ロースを最も旨く楽しむ方法の1つだ。

賀茂茄子の2色田楽

賀茂茄子の2色田楽  赤と白。美しく2分された味噌が茄子を覆う。見ただけで食欲がそそる。食欲が落ちる夏場には効果的だ。京野菜の代表格・賀茂茄子をザックリ半分に切って白と赤の味噌をハーフ&ハーフでのせた。見た目にも美しいシンプルな逸品。

 賀茂茄子は大型の丸茄子で、直径約10センチ、重さは約300グラムでヘタが3つに分かれているのが特徴だ。江戸時代初期には現在の北区・上賀茂神社辺り作られていたという歴史ある茄子。昨今は城陽から亀岡、福知山や綾部など生産地が京都市周辺に広がるが、店では「本場」上賀茂で種子保存を続けている農家と契約している。

 店では5月の連休明けから穫れる初なりを使う。油で揚げてから調理すると、色が綺麗に出る。よく油を切って特製の田楽赤みそ、田楽白みそを塗る。「女性は甘い赤を、男性は白を好みます。ただ酒好きは性別関係なく白味噌かな」と料理長。「1粒で2度おいしい」京料理だ。

名店紹介

海鮮食彩 祇園 蕪屋(かいせんしょくさい ぎおん かぶらや)

海鮮食彩 祇園 蕪屋(かいせんしょくさい ぎおん かぶらや) 暖簾をくぐると女将の長田美和(おさだ・みわ)さんが笑顔で迎えてくれる。長田さん目当ての会社員も多いと聞くが、その実、祇園という場所柄、客層にも広がりがあると言う。例えば、観光シーズンには外国人観光客も多く、2階には祇園を代表する音楽バー「KENTS」があるが、まずは「蕪屋」に来店すると言う。「この界隈で店前に明瞭に料金を掲示する店は珍しい。一見さんや、外国人観光客にもおいしい日本食を味わっていただきたいため、入りやすい店作りを心がけている」と社長。特に外国人に混乱をきたさないため、メニューにない「お通し」も出さないと言う。料理以前の要素にまでこだわる「蕪屋」だけに人気も高く、特に週末は予約が望ましい。店の奥には座敷もある、年末年始のみ休み。

◇住所 京都市東山区祇園町南側花見小路四条下ル一筋目西入ル
◇電話 075・551・0900
◇営業時間 午後5時~午前0時(ラストオーダー午後11時)
◇公式HP http://www.cabura.co.jp/kaburaya/


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