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玉乃光に合う肴

玉乃光といわしのピリ辛煮<祇園・季節料理いし田>

 祇園の中心・辰巳大明神から新橋通りを東に入ると、3階建ての「季節料理いし田」はある。1階はカウンターと座敷、2階は宴会もできる座敷だ。石田静飛虎(しずひこ)店主(60)はこの道45年、京都で生まれ大阪で修行を積み、北山で料理店を開いた。「玉乃光の福時会長には当時から世話になっています。この店が玉乃光しか置かないのは、そういった縁もあります」。なるほどカウンターに並んだ酒瓶を見ると、雄町に美山錦、山廃と玉乃光がズラリ。「仕事がいいから、うちの料理に合う。何より地元京都の酒やから新鮮」。なるほど、店主は酒も料理も「新鮮さ」にこだわるようだ。毎朝京都中央卸売市場に足を運び、季節の素材を選ぶ。「その日おいしいもの、旬のもの、新鮮なものを買う」。素材本来の持つ旨さを、経験豊かに創作していく。 この日は玉乃光に合う肴2品と、玉乃光の酒粕を使った料理3品を出してくれるという。

究極の肴

いわしのピリ辛煮

 寒い季節に旬を迎えるのがイワシだ。いわしのピリ辛煮唐辛子とニンニクと一緒に醤油だけで炊き込んだ。イワシの丸々とした身が骨からハラハラと落ちる。醤油が染みついたニンニクは、喉の奥ではっきりした存在感を主張、山廃吟醸のキリリとした喉ごしと共存して楽しい。唐辛子のせいだろうか。ホカホカ体が温かくなる。新鮮なイワシの旨みに醤油が絡んだ後味は、「もう1杯」と酒がすすんで止められない。

イカの塩辛

 新鮮なマイカを細かく刻んだ。するめイカとして知られるマイカのシーズンは秋から冬。大きく育ったイカほど食べ応えがある。イカの塩辛ここにトビウオの稚魚であるトビッコを加えた。「塩辛い」から塩からという名前になった訳ではない。塩辛菌と呼ばれる発酵菌を繁殖させて天然の旨辛さを引き出す。動物の腸ではうさぎやアワビ、それにイカが有名だ。「いし田」の塩辛はイカの身とワタ(通称ゴロゴロ)を別々に2日間煮込む。3日目にそれぞれを再び合わせてから仕上げる丁寧な仕事だ。別々に炊くことでそれぞれしっかり味が染み込む一方で、腸の塩辛菌と身の旨さが別々に増し、混ざらない。複雑な味は、なるほど素材の旨さを引き立てる雄町にピタリと合う。逆に塩辛が酒の旨さをこわすこともない。たった一品の肴にも、匠のこだわりが冴え渡る。

※こちらのメニューは通常店ではお出ししていません。必ず予約時にお申し付けください。

至高の酒粕料理

チーズたっぷり酒粕グラタン

 玉乃光自慢の酒粕を使った逸品。店主が「地元京都の玉乃光」にこだわるのは「近くて新鮮だから」だそうだ。チーズたっぷり酒粕グラタンよくスーパーで見かける「酒粕」は利益率の低さからぞんざいに扱われることが多いという。薄くてひび割れも早い。しかし「玉乃光の酒粕」は分厚くてソフトだ。「しつこく絞っていないため、柔らかく料理にすぐ溶け込む」。店主自らが選んだ素材との相性もいいと言う。またもろみが残っているため、酒の旨さもしっかり味わえる。

 そんな「玉乃光の酒粕」を使ったシリーズ。最初にテーブルに上ったのはなんと「グラタン」だ。表面のクリームチーズが沸々と煮えたぎっている。蔵で見た酵母が発酵するタンクを思い出す。表面に散りばめられたパン粉が焦げ目を付けてチーズの香を演出する。銀スプーンを刺し入れると、チーズの膜を破ってプーンと酒粕のいい香が立ち込める。

 一口目が印象的だ。溶けたチーズの糸が舌に絡み、乳製品独特の曖昧に広がる旨みを感じた直後、重ねるように酒粕独特のはっきりしたコクが口の中に広がる。濃厚な酒粕の味が、ホタテや牡蠣といった旬の海の味と絡み合う。隠し味か、うっすらと塩が入っていて飽きさせない。そもそもチーズと酒の相性は伝統的に証明されている訳で、今までなかったのが不思議なメニューだ。家庭での酒粕料理のヒントになるだろう。

酒粕のホワイトシチュー

 グラタン同様、乳製品である牛乳と酒粕が絶妙に絡む。ミルクとクリームの中に酒粕が溶け込んだ。酒粕のホワイトシチューミルクで薄まるため、グラタンほどの酒粕の味はないが、それでも料理をまとめる芳醇さは酒粕独特のものだ。ゴロッと大きめに切られた人参、蓮根、ジャガイモ、マッシュルームが躍る。好みに応じて肉を入れてボリューム感を増やせる。鶏肉のほか、例えば豚のタンなども美味しいそうだ。

 酒粕メニューと言えば家庭での定番は粕汁だろうが、シチューも冬の定番としてマッチする。ただ、いかにミルクに溶け込むかが、旨さの鍵を握る。これも「玉乃光の酒粕」ならではの逸品か。大人はもちろん、子供まで楽しめるメニューを試してもらいたい。

※こちらのメニューは通常店ではお出ししていません。必ず予約時にお申し付けください。

酒粕シャーベット

 普段「いし田」のメニューには黒糖シャーベットや季節に応じて柿のソルベといったデザートが締めに出される。酒粕シャーベット酒粕シャーベットも同じ締めのメニューとして提案された。一口目から氷結された酒粕が甘みとともに口の中で溶ける。すっきりとした爽快感が舌を刺し、料理で満たされた胃と酒の酔いを覚ますようだ。よく味わうともろみの粒が氷となって残っていることが分かる。酒粕がデザートとなる驚き、そして口に広がる爽やかな後味。京都祇園の奥深さが重なった。

※こちらのメニューは通常店ではお出ししていません。必ず予約時にお申し付けください。

名店紹介

祇園いし田

祇園いし田 落ち着いて旬の素材の旨さをそのまま料理にするという季節料理店。昼は午前11時30分~午後2時で、「おきまり 2500円」と「季節のお昼膳 5000円」。夜は午後5時から10時でコースは8000円~。祇園散策の折はぜひ立ち寄って欲しいこだわりの名店。年末年始以外は無休。

◇東山区花見小路通新橋東入る◇電話075・525・1515

京散歩

辰巳大明神

辰巳大明神 縄手通の東、新橋通と白川に面する一帯で江戸時代に開発された花街が祇園新橋エリア。特に新橋通はお茶屋が並ぶが、このお茶屋は2階で客をもてなすため普通の町家より高く、洗練された景観となる。白川と新橋の折り返し地点にある辰巳大明神は、技芸の上達を御利益とするタヌキを奉る。何でも祇園で悪さをしない約束に社を建ててもらったそう。待ち合わせは辰巳さんというのも小粋か。

おすすめの酒

玉乃光 山廃吟醸

玉乃光 山廃吟醸酒をおいしくする乳酸菌などじっくり天然繁殖させるため、芳醇な味わいとなる。造酒工程で腐るリスクもあるため、敬遠する蔵も多いが、玉乃光は杜氏の経験を生かし、美食に合う銘酒として完成させた。コクがあり、あっさりした和食に合う。


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