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特製あんぱん「玉乃光」～純米吟醸酒酵母仕込み～＜ホテルグランヴィア京都＞

　オープンから１０年目を迎えた京都駅ビル。この２階に改装を終え黒大理石が美しい「ペストリー＆ベーカリーショップ　ル・タン」がある。「春の定番商品にしたい」と澤西健史シェフが意気込む特製あんぱん「玉乃光」～純米吟醸酒酵母仕込み～が今年も発売を開始。４月２０日までの期間限定で１日１０箱限定の予約受注生産で早くも話題を呼んでいる。

　「ピンと来ました」。そう振り返る澤西シェフは３年前、偶然飲んだ新酒の醗酵の新鮮さに、パンと日本酒のコラボレーションを直感した。酒まんじゅうのような独特の食感を持ったあんパンを作りたいという思いを描いた。「イメージはある。ただできるかどうか」。あんパンの奥深さを人一倍知るシェフだからこそ、その難しさも悟った。

　２０年以上前の修行時代、８年間師事したシェフに、あんパン作りをたたき込まれた。「庶民の味だからこそデリケート」。師の言葉を大切にパンを焼き続けてきた。そんな中、「玉乃光」に出会った。プライベートでも酒を愛するシェフだが、地元京都の日本酒で理想のあんパンを作れないかと感じた。純米吟醸酒のもろみを粗ごしした生原酒の酒酵母で小麦粉を醗酵させ、さらに酒粕を生地に練り込み試作を重ねた。手応えを感じた。

　発売２年目の昨年はシーズン前に酒蔵を見学。醗酵具合や香りを、シェフ自身が肌で感じたことで、理想的なあんパンに近づけた。「香り」と「風味」を生かすため、温度を通常の１９０度から低めの１５０度に設定、３日に渡り低温熟成させた。またスチームが酒本来の香りを逃さないなど、工程の細部までこだわった末、完成した。

　「今年のお酒の出来は最高。パンと同じで生き物なので、コンディションを見れば分かります」。シェフならではの感性で酵母と会話をするように作り上げる。一口目で広がる玉乃光の芳醇な香りが、あんの甘さを優しく包む。春らしい紅白のあんパンは１箱４個入りで１５７５円（税込み）。予約は商品引き渡しの２日前までで、電話０７５・３４２・５５２５（直通）まで。

「甘酒むしパン」＜木村屋総本店＞

菓子パンメーカーの木村屋総本店が３月１日に発売した新商品「甘酒むしパン」（１２０円）が注目されている。過去に例のない甘酒を使ったむしパンで、京都・伏見の玉乃光酒造が製造した純米吟醸酒「玉乃光」とのコラボレーションが実現した。

　開発に携わった製品企画課の野村武彦課長（２９）は「あんぱんなどで和のイメージの強い弊社の考え方に納得してもらった。甘酒は天然アミノ酸を含んでおり体にいい」と甘酒にこだわった理由を明かしてくれた。

　発売以来の売れ行きも順調で、多くのお客様から非常においしいという声が届いている。昔からあるむしパンにこだわった理由も「生地そのものを味わってもらうため」というが、香り豊かな玉乃光の味もうまく生かされている。

　アイデア出しから約半年で商品化につながった。「風味」、「甘み」、「酒粕の量」のバランスが一番難しい部分だったという。今回、関西の酒蔵メーカーとのコラボだが、発売は関東のみ。野村課長は「非常に残念ですが、今後、全国展開も検討していきたい」と話す。最後に「一度食べていただき、『お客様相談室』に率直な意見を言ってもらいたい。それを参考に、またいい商品開発をしていきたい」と抱負を語ってくれた。