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玉乃光に合う肴

鱧焼霜造り<近又>

近又ご主人 鵜飼治二さん  京の台所・錦市場と御幸町通りが交わる繁華街に「懐石・宿 近又」はある。創業は享和元年(1801年)、建物は国の登録有形文化財にも指定される由緒正しき旅館だ。7代目主人で総料理長の鵜飼治二さんは曾祖父と祖父とが並ぶ白黒写真を誇らしげに掲げる。「その昔、近江の薬の行商人の定宿でした。ビジネスホテルみたく、安くて庶民的な宿だったそうです」。7代目が継承したときに、宿を辞めて、懐石に集中することも考えたそうだ。それでも、長くひいきにしてくれる客人の存在もあって、現在は高級旅館として機能を残した。2階の部屋から見下ろす中庭の空気感は京都の中心にいることを忘れさせる静けさが漂う。なるほど、旬の食材と冷酒を食べながら、祇園祭りの囃子をここで聞き入ることは、至極の贅沢だろう。「京の懐石は季節の旬の味」。そう語る鵜飼料理長は、また数少ない認定・京野菜マイスターの1人でもある。「マイスター」は京野菜を知り尽くした有識者が、その振興と、食文化の普及に努めるというもの。京で生まれ育ち、幼い頃から一流の味に親しんできた鵜飼さんはまさに適任だろう。「旬の2品を用意しました」。総料理長のセンスが、美しい懐石を生み出した。

究極の肴

向付 鱧(ハモ)焼霜造り

 向付 鱧(ハモ)焼霜造り 京都の夏の味覚と言えば、鱧(ハモ)、祇園祭りは別名「鱧祭り」というほど生活に根付いた高級食材だ。輸送技術が発達していなかった頃、夏に京都まで生きたまま輸送できた、生命力の非常に強い数少ない魚だった。ハモは、長くて硬い小骨が多く、「骨切り」という下処理が必要で、熟練の技が必要。「生けすから漁って、さっと料理する」とご主人。生きたハモをさばかないと湯引きがきれいに開かないからだ。

 この骨切りしたハモを熱湯に通すと、白い花のように開く。近又のハモは日本海産(韓国)で、高級牛肉の霜降りのように、きめ細かな脂身が広がり、旨みを増す。水玉キュウリ、南瓜けん若荷けん、赤芽しそを添えて見た目も何とも涼しげだ。

 また、注目して欲しいのはその器の妙だ。器の口縁に小さな人形が付いた、京焼の一閑人で、近又で代々使われてきた逸品だ。総料理長は「器も楽しんでもらってこその懐石」と妥協ない。この牡丹ハモは、そのまま梅肉でいただく。独特の脂身のコクと旨みに、梅のすっぱさが絶妙だ。玉乃光の冷酒と合わせていただきたい。

冷鉢 加茂茄子

 冷鉢 加茂茄子 豪華な逸品だ。冷鉢も京野菜の代表格、「加茂茄子」を、海の幸、山の幸を問わず旬の食材で飾った。加茂茄子は、京都・加茂周辺で古くから栽培されている大丸茄子で、果重200グラムにもなる。黒紫色の実は軟らかいのに、煮崩れしない。果肉のトロリとした食感と、上品な香りの加茂茄子を、蒸アワビ、車海老、生ウニの煮こごりがけに、青唐辛子、トウモロコシと焚き冷やす。一緒に煮焚くことで、旨みが凝縮、夏ばてで食欲が減退しても、ハシが進む。薬味として青シソ花(花穂シソ)を、頂上には極細の針ノリも添え、見た目も楽しい。豪華な食材に囲まれた加茂茄子だが、素材の旨さは周囲に消されず、むしろ際立つようだ。「京都の店なので、地のもの、旬の京のものにこだわりたいです」。総料理長の言葉に、京懐石の意味を確認できた。祇園の時期、冷えた玉乃光と味わうなら、これぞ贅沢の極みと言わざるを得ない。

名店紹介

近又

近又 京懐石、鍋料理を京町屋でいただける。昼懐石は正午から1時半までに、夕懐石は午後5時半から7時半までに入店を。建物は木造2階建て、紅殻作りの玄関、竹の穂垣の施された庭、傘天井による総檜作りの風呂など、京の典型的な町家作りで創業当時の面影が残る。席は座敷とイス席を選ぶことができる。和の空間にイス席は珍しいが、弁柄の和玄関を抜けると、イタリア風ヴェネツィアンレッドの壁が続くユニークな空間となっている。また、障子の格子に「近又」の文字をアレンジするなど遊び心に満ちている。宿泊は全て予約制。ミニ料理教室も開催。水曜定休だが、祝祭日は営業。

◇京都市中京区御幸町四条上ル◇075・221・1039
http://www.kinmata.com

京散歩

錦市場

錦市場 錦天満宮のある寺町通から高倉通の間を東西に貫く市場。「京の台所」と呼ばれ、魚・京野菜などの生鮮食材、おばんざい(惣菜)や京漬物などの加工食品まで老舗・専門店が集まる。年の瀬のにぎわいは風物詩。観光名所としても人気。

おすすめの酒

純米吟醸 超特撰 祝100%

純米大吟醸 こころの京 2008年は「源氏物語千年紀」。節目を記念して発売された「純米吟醸 超特撰 祝100%」は淡麗な味と独特の芳香が特徴の日本酒。京都産酒米「祝」は山田錦の原種と伝えられる「山田穂」から昭和8年に開発された最高級種で、戦後なくなったが、近年、府内の農家と行政の協力で復活した。この「祝」を100%使用した贅沢な1本に、平安貴族文化をしのばせる源氏物語絵巻(徳川美術館所蔵)を題材としたラベルを巻いた。


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