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玉乃光に合う肴

八寸<妙心寺 退蔵院>

「妙心寺 退蔵院」 松山大耕副住職  臨済宗妙心寺派大本山の妙心寺。その塔頭として室町時代に無因禅師(むいんぜんし)を開祖として建立、悠々と600年の時が流れた。狩野元信作の枯山水庭園、中根金作氏作で昭和の「余香苑」などの名庭や、宮本武蔵が参禅したとき、この傑作を前に自問自答したと伝えられる如拙作の国宝「瓢鮎図(ひょうねんず)」も所蔵。訪れた人に退蔵院の威厳を伝える。

 1年を通して花々に囲まれた名庭を見ながら、抹茶と和菓子をいただけるのだが、特に桜が咲き誇る春、紅葉が輝く秋はそれぞれ夜会が催され、お座敷で精進料理を食べることができる。美しい境内の景色は退蔵院のHPにも掲載されている。

 松山大耕副住職(30)はこの寺で生まれ、埼玉・新座の平林寺で約3年半修行した。「修行として、精進料理を作ります。 世間が考えるほど特別なものではありません」。なるほど、献立を見ると、「ピリ辛こんにゃく」が目につく。懐石と言うより、定食の小鉢かおつまみといった印象のメニューだ。「当然、お酒も大丈夫ですよ」。そう微笑む副住職を見て緊張が解けた。玉乃光はじめ地元のお酒が名刹でいただける。不思議な気分に浸る。

究極の肴

八寸

 八寸  そもそも懐石料理とは精進料理から発展した。禅宗である臨済宗の妙心寺は東林院を始め精進料理を振る舞う塔頭(たっちゅう)が多い。食することと同等に、店の主人と客との「一期一会」を重んじる。

 懐石料理の「オードブル」を「八寸」と呼ぶ。様々な料理が飾られ鮮やかだが、八寸皿に盛られたのが名前の由来だ。最初に主人と客が閑談するのがこの「八寸」の時で、緊張をほぐし、リラックスの時間を演出する。懐石料理には先付、吸物、煮物、焼物など様々な献立があるが、これから始まるコース料理との出会い、主人との邂逅を印象づける。

 3皿に小分けされた料理は、「ほうれん草のお浸し」「ぬかご、栗、サツマイモ揚げ」「長いも昆布、にんじんの焚き物、千枚漬け」だ。「ぬかご」(=むかご)は山芋の葉にできる小芽で、油でさっと揚げるとスナック感覚で食べられる。塩を付けて食べると、イモのような食感が楽しい。最初から玉乃光の酒が進む。

湯葉揚げ

 湯葉揚げ 湯葉を油で揚げ、蛇腹昆布と合わせてスナック感覚でいただく。仕出し弁当などは、法事のとき長時間放置されても傷まない素材が使われるが、この湯葉揚げも同じ。料理を作るのは仕出し屋だが、寺からも積極的にアイデアを進言する。例えば、寺内に蓮が咲く頃には、じゅんさいなどを使った蓮のフルコースを提案する。湯葉揚げも、何気ない提案から定番化した。

クルミ豆腐、小松菜のお浸し、ピリ辛こんにゃく

 クルミ豆腐、小松菜のお浸し、ピリ辛こんにゃく 見た目も食感もゴマ豆腐だが、微妙に違う。客に驚きを与える、起承転結で言えば「転」のアクセント料理。クルミは11月限定だが、ほかにもピーナッツ豆腐など、季節に応じて月ごとにバリエーションを変える。わさび醤油でいただくと、クルミの押さえた甘さとわさびの辛さが相まって口の奥に広がる。

 冬の和食の定番中の定番で、日本人の心の料理だ。塩ひとつまみ入れた熱湯でゆでた後、冷水に取り、水気を絞る。小鍋に酒を入れて煮切ってから、しょうゆと出汁を加えて冷ます。小松菜と京野菜である畑菜を使う。出汁は、精進料理なので当然カツオ、煮干しなど動物性のものは使わず、昆布、かんぴょう、ドンコ椎茸など植物性のものを多用する。

素材を無駄にしない

 副住職は精進料理を「素材を無駄にしない料理」と表現した。なるほど、色鮮やかな自然食を中心にご飯、味噌汁もある、等身大の食事かもしれない。寺内には精進料理で有名な東林院があるが、退蔵院も、外国人を個人から受け入れるなど精進料理に定評がある。庭に隣接するお座敷は30人、ほかに書院も用意できる。懐石料理のコース、料金は応相談。予約はできれば団体10人以上で申し込みを。

名店紹介

精進料理 阿じろ 本店

精進料理 阿じろ 本店 妙心寺門前にある各塔頭御用達の精進料理専門店。退蔵院の懐石もここで作られたものが運ばれる。コース料理は、禅味(6930円)、花園(9240円)、妙法(1万1550円)など。名物の引き上げ湯葉は花園コースより含まれる。

◇京都市右京区花園寺ノ前町28-3
◇075・463・0221
◇11:00~19:00

京散歩

妙心寺(みょうしんじ)

天龍寺 臨済宗妙心寺派の大本山。7つの伽藍と46の塔頭(たっちゅう)が約10万坪にも及ぶ敷地内に整然と並ぶ様は壮観。

◇京都市右京区花園妙心寺町

おすすめの酒

純米吟醸 玉乃光 伝承 山廃仕込み

純米吟醸 玉乃光 伝承 山廃仕込み 山廃は「秋上がり」といって、夏をまたぎ貯蔵する。仕込みは2月、火入れの後、そこから6カ月寝かす。自然界の乳酸菌を操りながら、味を調える。調整は経験が頼りだが、できあがりのタイミングを見定めるのが難しい。その後、「旨みが出てきて、まろやかな味に変わる。まるで角が取れて丸くなる感じ」。「山廃」は熟成してから飲むので、味わいが複雑になる。重厚なコクと切れ味のよさがのどに響く。この山廃を玉乃光伝承の純米吟醸酒として仕上げた。売れ行きが前年比120%と幅広く支持されている。


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