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玉乃光に合う肴 東京編

にしんの山椒漬け<如雪庵一色>

如雪庵一色主人  湘南は葉山の御用邸前に、多士済々の鎌倉文士たちが集った「如雪庵 一色」がある。かの地に店を構えて33年、極上のそばに、極上の酒、極上の肴を供することで愛され続けてきた。

 店主の浅野晴道さん(75)は、鎌倉清酒研究会の会長を務めるほど日本酒への造詣が深い。また日本で初めて純米酒を作った玉乃光をいち早く取り扱った慧眼の持ち主でもある。

 「『醸造用のアルコールや糖類がいっぱい入った酒が横行している。ヨーロッパ帰りの商社の友人に日本の酒はあまりおいしくないと言われて、米だけの酒を作ろうと思った』と玉乃光の社長さんが日経新聞の文化欄に書かれていました。それで調べて店に置いたわけです。

 そんなある日、小林秀雄さんがお見えになって『この玉乃光はどこの玉乃光だ』と。酒を飲むなら玉乃光をと人にずいぶん勧められていたらしいのですが、こんな葉山の田舎にその玉乃光があったので最初は怪訝な顔をされてました。コバヒデ先生は『この鴨はどこの鴨だ』『このしょうゆはどこのしょうゆだ』としつこいくらいお聞きになる方でしたから(笑い)。

 小林さん、里見■(とん)さんと堀口大学さんが玉乃光を飲んでおられた時にテレビの方がうちに見えて、なんとか3人を引っ張り出したいとなってね。それで葉山町長に頼んだ。口説くのに難儀したようですが、里見先生が最後に『一色なら出てやってもいい』とおっしゃってくださいました。

 普段もそうでしたが対談の時も皆さんお燗でした。仲立ちした町長が日頃はウイスキーの水割りばかりなんですね。そしたらコバヒデ先生は『人が丹精したものをうめて飲むバカがあるか』って(笑い)」。

 そんな鎌倉文士たちが杯を酌み交わした伝説のそば店で、日本酒片手に珠玉の肴をいただくとしよう。


※■は弓へんに享

※店主浅野さんと玉乃光酒造現会長の宇治田福時さんの対談「鎌倉文士と玉乃光」もご覧ください。


究極の肴

にしんの山椒漬け

にしんの山椒漬け 会津地方の郷土料理として知られるのが、このにしんの山椒漬け。山に抱かれた会津の地で、にしんを主役にした料理が育まれたのには必然ともいうべき理由がある。保存性を高めるといわれる山椒が香りと酸味を加え、にしんの渋みや臭みを抜くのだ。そうして作られた豊潤な味は、先祖代々の英知が受け継がれた極上の肴と言える。

 主人が会津に行った折に感銘をうけて、4年前から「一色」のメニューに加えたという。北海道から空輸された身欠きにしんを、そばの返し、みりん、酢、そして山椒の葉を漬け込み、じっくりと2週間寝かせでき上がる。会津の味を葉山のそば店の解釈で作られたものだ。

 ひと切れ口に入れるだけで、脂が乗ったにしんの旨みと山椒の香りがじゅわっと広がる。味付けは濃くもなく薄くもなく、にしんそのものの旨みをしっかりと感じられるような絶妙な加減だ。まさに日本酒が飲みたくなるという味だ。さすが日本酒をよく知るご主人が供する料理。これにかかれば、誰もがククッといきたくなるだろう。

本鴨の肉だんご

本鴨の肉だんご 素材は高級鴨として知られるバルバリー種鴨。もも肉のミンチを丸めて肉だんごにしている。しょうゆとみりんで味を付け、吉野の本葛でとろみを付けたあんをかけていただく。

 まず、口にするとほっとするような素朴な味わいだ。しょうゆ味の肉だんごは何かしらの安心感がある。加えて鴨自体が持つ濃厚でありながらも上品な味わいがぎゅっと凝縮されている。時間が経っても肉の柔らかさと風味が損なわれない。日本酒好きの主人が、日本酒の「あて」として考えたにちがいない。そう確信させるような味なのだ。

 主人の筋書きにのって、黙って酒をお供にいただく。それが正しい食べ方であろう。

豆腐のくんせい

豆腐のくんせい 豆腐のくんせいは、平家の落ち武者が作り始めたと言われるほど、古くからある伝統食だ。全国的にも珍しいこのくんせいを今でも作り続けている岐阜から取り寄せている一品だ。

 豆腐の保存食といえば豆腐ようがある。それとは対極に位置する味だろうか。燻し具合がさらっとしていて、薄味と表現できるだろう。いかにも大豆が詰まっていると主張してくるほど豆腐の味わいが強い。そこにほんのりと燻した香りが乗った感じだ。

 「一色」ではメニューに加えて5年になる。美味しい、酒によく合うと非常に評判がいいという。ぜひ一度、日本酒とともに古来から伝わる伝統食をご賞味いただきたい。

名店紹介

如雪庵 一色(にょせつあん いっしき)

如雪庵 一色(にょせつあん いっしき)  国内産のそばから自家製粉の石臼引きで作られる十割そばの生粉打(きこうち、1360円)は毎日丹精込めて手打ちされる。辛味大根でいただくのがなんともいえず美味。日本酒のお供には、上で紹介した「にしんの山椒漬け」(500円)、「本鴨の肉だんご」(750円)、「豆腐のくんせい」(450円)以外にも、鎌倉文士たちも味わっていた板わさ、焼きのりといったそば店の定番も取り揃えている。

 

そば ◇住所 神奈川県三浦郡葉山町一色1987
◇電話 046・875・7985
◇営業時間 午前11時半~午後4時、土曜は~午後5時、日曜・祝日は~午後6時。そば売り切れじまいあり。
◇定休日 毎週水曜日、第3火曜日休み。水曜日が祝日の場合は営業し、翌日の木曜日が振り替え休業日。



おすすめの酒

純米大吟醸 備前雄町100%

純米大吟醸 備前雄町100% 最高の酒造好適米「備前雄町米」。玉乃光酒造は絶滅寸前だったこの酒米の再興に協力、「日本酒の傑作」として世に出した。備前雄町米を100%使用したため、米の旨みと天然の酸味がスッキリ調和。香りも柔らかく、飲み飽きない逸品に仕上がった。


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