ゴルフの米ツアーに挑戦するのは選手だけではない。今季は男子の松山英樹専属キャディーの進藤大典(だいすけ)氏(33)と、女子の宮里美香専属キャディーの加藤大幸(ひろゆき)氏(30)が米ツアーを主戦場にする。日刊スポーツでは、2人が米ツアーの裏側や選手の素顔などを語るコラム「キャディーメモ」を随時掲載。第1回は進藤キャディーが、松山の8週間ぶりのツアー復帰戦について語ります。


<松山英樹専属キャディー・進藤大典>


 初めまして! 松山英樹の専属キャディー、進藤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 先週のファーマーズ・インシュアランス・オープンで、英樹は8週間ぶりに実戦復帰しました。まずは無事に4日間を戦い抜けてホッとしています。トーリーパインズは難度の高いコースで、2コースを使う変則的な試合形式。復帰戦としては簡単じゃないなとも思っていました。なのに16位。ショットはまだまだ本調子ではない中で、よくやったと思います。

 やっぱり英樹は英樹だと思うこともありました。開幕数日前は終始ニコニコしゃべりながら調整していたんですが、開幕前日のパッティンググリーンで、急に誰も話しかけられないようなオーラを発して練習を始めたんです。そしてものすごい集中力で、バシバシと決めていく。ああやってきっちり試合モードに切り替えられるところが、強さの秘密だと思います。

 僕にとってトーリーパインズは夢の舞台でした。高校生だった17年前、合宿の合間に大会を見に来たことがあるんです。タイガーとかミケルソンを生で見て、すごく興奮したことを覚えています。キャディーとしてあそこに立てて夢のような気持ちでした。英樹には、ぜひあの日のタイガー、ミケルソンのように、コースの内外で尊敬されるプロになってほしいと、あらためて思いました。

 今週はフェニックス・オープンに出場します。ホールを取り囲むスタンドで3万人が見つめる16番パー3では、ティーグラウンドからグリーンまで競走する「キャディーレース」があると聞いています。今年もやるのかどうかは分からないのですが、足腰は自分なりに鍛えておきました(笑い)。どんな結果になるか…。次回、ぜひお話しさせていただきたいと思います。(2014年1月29日付紙面掲載)