【天安(韓国)9日=田口潤】石川遼(17=パナソニック)が、米国-世界選抜(欧州以外)対抗戦プレジデンツ杯(10月8日開幕、米ハーディングパークGC)に出場することが決まった。世界選抜の主将グレグ・ノーマン(54=オーストラリア)の指名によるもので、17歳での選出は史上最年少となる。これで7月全英オープンで同組だった米国代表タイガー・ウッズ(33)と団体戦での再戦が実現。大会名誉会長である米国のバラク・オバマ大統領(48)との対面の現実味を帯びてきた。大きな夢が広がった石川は10日から韓国オープン(牛汀ヒルズCC)に出場する。

 17日に18歳の誕生日を迎える石川に、海の向こうから1週間早いプレゼントが届いた。米国で会見したノーマン主将からの指名。韓国で朗報を受け、「候補に挙がっただけで満足でしたが、まさか選んでいただけるとは」と、満面の笑みを浮かべた。

 過去に尾崎将司、丸山茂樹らが出場した同杯は、子供のころからあこがれだった。7月全英オープンの大会前、代表候補としてノーマン主将によるミーティングに呼ばれた。約30人が参加する中、石川は選手1人1人に自己紹介して握手を交わした。ノーマンは、そんな真摯(しんし)な姿を「彼の熱意とやる気を感じた」と、目に焼き付けていた。石川の「握手外交」が実った形だ。

 攻撃的なプレー、重圧に負けない精神力も評価された。全英オープンで石川はウッズと同組だった初日に68を出し、ウッズを3打上回った。ノーマンは「彼は恐れを捨て、タイガーに立ち向かった。常に50人以上の報道陣に囲まれて、プレッシャーも苦にしない」と説明。日本ツアーで最近6戦3勝の実績には「すごい活躍だし、当然の決定」と期待を寄せた。

 同杯は米国代表、世界選抜の各チーム12人ずつで争う団体戦。大会は3日目まで2人1組、最終日はマッチプレーとなる。当日のノーマンの判断、組み合わせ次第ではウッズとの直接対決も実現する。石川は「お祭り的に楽しくやることは考えてない。戦うからには、1ポイントでもチームの勝利に貢献したい」と早くも戦闘モードを高めた。

 同杯の名誉会長は、慣例で米国大統領が務め、米国開催の際は最終日に会場を訪れて、選手の健闘をたたえるのが恒例だ。オバマ大統領は、今年の夏休みを連日ゴルフに費やしたほどゴルフ好きで、今回も来場する予定。これまで日本人スポーツ選手でオバマ大統領と対面したのは、マリナーズのイチローだけで、大リーグ球宴でサインボールをゲット。対面の可能性に石川は「お会いできたら人生の宝物になる。握手できるだけで、すごいことですよね」と目を輝かせた。

 8日は史上最年少でマスターズ、全米オープン、全英オープンの出場資格の世界ランク50位以内の47位に入ったばかり。プロ2年目の17歳が、強烈な勢いで、夢を現実に変えている。