<男子ゴルフ:日本プロ日清カップ>◇初日◇13日◇長崎・パサージュ琴海アイランドGC(7060ヤード、パー70)◇賞金総額1億4000万円(優勝2800万円)

 石川遼(18=パナソニック)が、終盤のチャージで首位と4打差17位につけた。一時は3オーバーまで後退しながら残り6ホールで4バーディーを奪い、1アンダー69と「復活」。31年ぶりの男子ツアー開催で沸く長崎で、初日としては大会史上最多6557人の観衆が詰めかける中、攻撃的ゴルフを披露し、出場2試合連続&大会最年少Vへ、合格点スタートを切った。

 厳しい流れを、貴重なバーディーで引き戻した。後半の4番パー4。3メートルのスライスラインを強気に沈めた石川は、ベルト付近で右手を握り締めた。「セカンドもミスだったけど、風に救われてチャンスについてくれた。このパットを何としても決めたいと思った」。続く5番も1メートルを決め、8番では3メートルをねじ込み観客に向かって万歳した。気分も乗った最終9番でも3メートルを入れて、終盤6ホールで4バーディー。会心の逆襲劇で69。首位と4打差17位で初日を終えた。

 悪夢がよぎりかけていた。プロ日本一を決めるこの大会は国内ツアーで唯一、過去2年続けて予選落ち。この日もボギーが先行し、後半アウト1番からは続けて短いパットをミスし3連続ボギー。3オーバーまで後退した。だが、進化を続ける18歳は焦らない。「ボールを打つ前に体のあらゆる部分がカップに向いていた」と、不調だったパットを冷静に分析。「結果を気にしてはだめ。アグレッシブに打とう」と、攻撃的にカップを狙い複雑な傾斜のグリーンを攻略した。

 31年ぶりに長崎で男子ツアーが開催され、初日では大会史上最多6557人の観客が訪れた。中にはマナー違反の客もおり、15番の第2打直前には、携帯電話のシャッター音で仕切り直す場面もあった。それでも、心は波立たない。「初観戦の方も多いし、そういうことがあってもおかしくないと思った。たくさんの方が見に来てる証拠。これだけ注目されたトーナメントということがうれしい」。ゴルフ界を引っ張る男らしく余裕の対応を見せた。

 6個のバーディーは今季初日最多。ボギーも5個と出入りは激しかったが「今日は長崎のみなさんに自己紹介できたかな。僕らしいゴルフだった」とニヤリと笑った。世界新「58」で優勝した中日クラウンズに続く2試合連続V、82年ぶりの最年少優勝記録更新へ、まずは好位置キープ。「ドライバーの調子は一番いい。コースにも慣れてきた。明日以降が楽しみ」。石川の自信はさらに膨らんできた。【木村有三】