<男子ゴルフ:タイ選手権>◇初日◇15日◇バンコク・アマタスプリングCC(7453ヤード、パー72)

 石川遼(20=パナソニック)は5バーディー、1ボギー、1ダブルボギー、2アンダーの70で16位につけた。一時は首位争いをしたが、9、17番で池に入れスコアを落とした。首位とは10打差もマスターズ出場圏内ギリギリの世界ランク50位以内のキープに向けては上々のスタートとなった。同組で世界ランク3位リー・ウェストウッド(38=英国)が1イーグル、10バーディー、ノーボギー、アジアツアー記録の60を出し、単独首位に立った。

 強がりではない。石川は2度の池ポチャはあったが「パット、アプローチ以外の約40回のショットのうち35、36回は同じスイングで打てた」と満足げな表情を浮かべた。今年最後の実戦で1年間追い求めた理想のスイングに少し近づいた。

 データが自信の根拠を示す。フェアウエーを外したのはわずか2回。フェアウエーキープ率は85・71%。今季日本ツアーの同率は43・13%の106位。不安定なドライバーが波をうみ、優勝ゼロになった。9、17番の池ポチャで、スコアを3つ落としたものの「それ以外は(60を出したウェストウッドと)対等にできた」と真顔で言った。

 今コースでの大会で、過去2度はバンコク中心地のホテルに宿泊したが、今回はコース内にあるコテージで過ごす。部屋にはテレビもなく、インターネットも接続できない。すべての雑音を封じて集中した。今年最終週まで現在の世界ランク50位をキープすれば、来年マスターズの出場権が得られる。「今日のようにやるべきことをやれば問題ない」。残り3日もスコアより「理想のスイング」を求める。それが夢の「20歳のマスターズ」につながっていく。【田口潤】

 ◆石川のマスターズ出場条件

 12月の最終週の世界ランクで50位以内に入ることが最初の条件。現在ギリギリの50位。関係者によると今大会で35位前後に入れば50位以内は維持できるという。50位から落ちた場合は4月のマスターズ前週の世界ランク50位以内に入る必要がある。2つの条件を逃した場合でも日本人世界ランク最上位者などの条件でマスターズ委員会から推薦される可能性はある。