<男子ゴルフ:タイ選手権>◇最終日◇18日◇タイ・アマタスプリングCC(7453ヤード、パー72)◇賞金総額100万ドル(優勝賞金15万8500ドル)

 世界ランク50位の石川遼(20=パナソニック)は1バーディー、2ボギーの73で回り、通算9オーバー297の58位に終わった。来年マスターズ出場権獲得条件の年内世界ランク50位以内からの転落も確定した。次の出場条件は来年4月マスターズ直前の世界ランク50位以内だが、米ツアーで好成績を挙げる必要がある。主催者推薦の可能性を残すものの、自力出場は大ピンチに陥った。世界ランク3位リー・ウェストウッド(38=英国)が通算22アンダーで優勝した。

 今年は最後まで「持ってなかった」。マスターズ出場条件の年内世界ランク50位を死守するためには、今大会で37位以内に入ることが最低条件だった。最終日の巻き返しを狙った石川は73とスコアを落として終戦。ラウンド後は「微妙な(世界ランクの)位置は把握していたし、ショックは全然受けてない」と精いっぱい気丈に話した。

 08年のプロ転向以来、数々の最年少記録を塗り替えてきた。「持ってる男」だったが、プロ4年目の今年はついに未勝利に。なぜか「あと1歩」が多かった。1打差で翌年の出場権を逃した4月マスターズ、1打差で米ツアーのシード権を逃した8月ブリヂストン招待。国内ツアーでも何度も優勝争いしながら、頂点は遠かった。

 年内の来年マスターズ出場権もギリギリの世界ランク50位にいながら「あと1歩」足りなかった。自力出場のためには、マスターズ前に世界ランク50位以内に入ることが条件。そのためには前哨戦の米ツアー8戦(予定)で上位争いが求められる。昨年世界ランクは年明け36位だったが、マスターズ直前には45位に落ちるなど、米ツアーで結果を出すのは簡単ではない。

 小学校の卒業文集に「20歳でマスターズに勝つ」と書いた。主催者推薦の可能性もあるが、大きな夢だっただけに、自力で勝ち取りたい。「今年、来年と区切るつもりはない。休むのはもったいないし、正月も休まない」。最終日のラウンド後もただ1人、2時間の練習をした。「あと1歩」は紙一重の差。その差を埋めるため、これまで通り、誰よりも多い練習を積んでいく。【田口潤】