プロ18年目の山下和宏(41=ザ・サイプレスGC)が8バーディー、2ボギーの65で回り、通算14アンダー199で単独首位に立った。大阪府出身の山下が地元関西の大会で、ツアー10度目となる最終日最終組で悲願の初優勝を狙う。

 山下が16番でピン上7メートルから、この日8個目のバーディーパットを決めた。右手をわしづかみするような「クローグリップ」も板につき、パットの不安もない。滋賀県開催のこの大会は、大阪府出身の山下にとっては地元大会。スコアを6つ伸ばして、3位から単独首位に浮上して最終日を迎える。

 第1日のことだった。大会主催の関西ゴルフ連盟(KGU)の森下洋一理事長に「関西の選手、頑張れよ」と声をかけられた。関西勢では谷口、藤本らとともに山下は実力者として認められてきた。それだけに「変な重圧があった」という3日間だったが、期待を力に変えた。

 最終日最終組は今季の開幕戦・東建ホームメイト杯以来で通算10度目。最終日を単独首位で迎えるのは、11年ツアー選手権以来2度目だ。77と崩れて15位に終わった4年前は「ライオンに囲まれた羊みたいでしたけど、今のボクは違う」。現に今季開幕戦では66とスコアを大きく伸ばしての2位だった。

 05年にツアー昇格前の関西オープンで勝っており、今度はツアーになったこの大会で悲願の初勝利を目指す。「何かの因縁かも」。涼やかな顔がほころんだ。顔は若く見えるが41歳、2人の子供の父親だ。もう勝たねばならない。【町野直人】

 ◆山下和宏(やました・かずひろ)1973年(昭48)11月5日、大阪・高槻市生まれ。大阪・島上大冠(現大冠)高出身。15歳からゴルフを始め、98年プロテスト合格。08年から昨年まで7年連続シード。今季2位が2回、2164万円で賞金ランク4位(日本選手最上位)。175センチ、70キロ。