大山志保(38=大和ハウス工業)が、2年ぶり3度目となる地元宮崎開催の最終戦Vに王手をかけた。1打差3位スタートで、4バーディー、2ボギーの70をマークし、通算4アンダーの212で首位に浮上。この日が76歳の誕生日だった父晃さんにプレゼントを忘れない孝行娘が、海外勢の国内メジャー6連勝を阻止する救世主になるか。賞金女王イ・ボミ(27)は6打差8位で最終日を迎える。

 宮崎CCの高麗グリーンは、全部分かっている。15番パー4。大山の2・5メートルのパーパットは強い芝目に関係なく、カップに一直線に飛び込んだ。「ガツンと打ちました。あそこは逆目なので、弱いとカップ際で切れるから」。賞金ランク25位以上など出場者が30人前後に限られる最終戦で出場9度目は、今大会の日本人最多。しかも2勝だ。

 故郷の大会は万全の備えで臨む。コースから車で約7分の実家ではなく、約25分かかる高級ホテル、シェラトン・グランデ・オーシャンリゾートに泊まる。「1人で寂しい」と冗談めかして笑うが、毎年37階の部屋をとる。抜群の眺望が心を癒やしてくれる。

 この日は個人タクシー運転手の父晃さんの誕生日だった。「ちょっと若作り」させようと、ドルチェ&ガッバーナのバッグを贈った。強くて、優しい孝行娘は、愛する宮崎で勝つことしか考えていない。【加藤裕一】