男子ゴルフの石川遼(24=CASIO)が、日本シリーズJT杯(3日開幕、東京よみうりCC)で初の日本タイトル奪取を狙う。賞金ランク上位者ら選ばれた30人で争われる今季最終戦。1日の練習ラウンドはアウトのみ9ホールを回り、高速グリーン攻略をポイントに挙げた。首位で迎えた最終日に逆転負けを喫した前週カシオ・ワールドオープンの雪辱も込めて、勝って1年を締めくくる。

 グリーン左奥にピンが切られた5番パー4。石川は第2打をピン奥2メートルにつけた。しかし、優しく優しく打ったパットはカップをかすめると、下り傾斜でグングン加速して右のラフまで落ちていった。第4打、ラフからのアプローチも登り切れずに戻された。「これじゃ、ダボ(ダブルボギー)だね」と苦笑いだった。

 ただでさえ傾斜のきついグリーンが、今年は出場する日本のトッププロも「速い」と口をそろえる状態。さらに難易度は上がりそうとあって「ピンポジション次第で、すごく難しくなる。これだけ速いので、どこまでスコアが伸びないのか気になる」と警戒を強める。我慢比べを覚悟し、攻めは定石を意識。「ショートアイアンで打ってピン奥1・5メートルにつけても、チャンスじゃない。ピン奥に突っ込みつつ、スピンで手前に止めるのがベストかな」とイメージを膨らませた。

 ドライバー、アイアンとも復調傾向で、クロスハンドのパッティングの感覚も上々。この日に使う機会はなかったが、高い弾道を求めて3番アイアンの投入も検討中。今日2日のプロアマ戦でのテストを視野に入れている。「先週のようにロングパットでリズムを作りたい。楽しみですよ」と笑顔でうなずいてみせた。

 今季は金庚泰(韓国)が5勝を挙げて独走で賞金王を決め、複数優勝を果たした日本人は皆無だった。石川にとっても日本オープン、日本プロ、ツアー選手権を含めた日本タイトルには不思議と縁がないだけに、通算13勝目で有終の美を目指す。【亀山泰宏】

 ◆今大会の出場資格 <1>昨年優勝者(宮本)<2>今季ツアー優勝者<3>前週までの賞金ランク20位以内<4>15年米ツアーまたは欧州ツアー優勝者(呉)<5>計30人になるまで賞金ランク21位以下から繰り上げ。