小平智(27=Admiral)が通算14アンダー270で今季初勝利、昨年の日本オープン以来のツアー通算4勝目を挙げた。3打差5位から出て、5バーディー、1ボギーの67で回っての逆転勝ち。第1日91位からの優勝は、記録の残る85年以降で4番目の“大まくり”だった。これで来年の世界選手権シリーズ・ブリヂストン招待の出場権を獲得。3年前にも出て、国際舞台の厳しさを思い知らされたコースへのリベンジを目指す。

 小平は「自分を貫けました」と胸を張った。この日もドライバーは7回だけ。16番パー5では第1打で5番ウッドを握り、残り260ヤードの第2打を3番ウッドでピン奥6メートルに乗せた。先に短いクラブで打つ珍しいケースだが、左ドッグレッグで確実にフェアウエーをとらえ、2オンさせるための攻略法。楽々バーディーとし、結果的にこの1打が勝利を呼び込んだ。

 「初日にはまさか優勝できるとは思わなかった」と振り返る一方で、「スーパーショットもない。奇跡的なこともない。実力で勝ち取れた」と誇らしげだ。

 勝てばブリヂストン招待に出られることもモチベーションになった。13年に日本ツアー選手権優勝の資格で出場。予選落ちなしの4日間で通算13オーバー、出場74人中65位と惨敗した。「打ちのめされた」。7400ヤード(パー70)と長いコースで、米ツアー選手の飛距離に圧倒され、自らのロングアイアンや小技の未熟さも突きつけられた。3年前より上達している自負はある。今大会は「優勝してリベンジしに戻りたいと意識して」戦っていた。

 海外志向が強く、優勝スピーチでは年下の松山、石川の名を挙げ「1歩でも近づけるように」。来年には欧米ツアーの予選会挑戦も考えている。もちろんブリヂストン招待で好成績を残せば世界への道は広がる。この日の勝利は夢が膨らむ1勝でもあった。【岡田美奈】

 ◆優勝者の第1日の順位 記録の残る85年以降で、01年ダイヤモンド杯で伊沢利光が第1日116位から優勝したのが最も下位からの記録。12年パナソニック・オープンの小林正則の110位、11年ミズノ・オープンの黄重坤(韓国)94位と続き、小平の91位は4番目。