賞金ランク1位の池田勇太(30=日清食品)が初の賞金王へ王手をかけた。最終日は豪雨のため中止。大会は54ホールに短縮され、第3日まで通算13アンダー203で首位に立っていた池田に今季3勝目、ツアー16勝目がもたらされた。規定により賞金は75%に減額され、同ランク2位谷原秀人(38=国際スポーツ振興協会)との賞金王争いは今季最終戦、日本シリーズJT杯(12月1日、東京よみうりCC)にもつれ込んだ。

 雨で中止になれとはみじんも思っていなかった。池田は優勝会見の席で「残念ですね。やり切れない気持ちですけど、しょうがない。自然には勝てないんで」と、胸の内を明かした。

 池田の最終組は午前9時50分スタート。練習を開始しようとした同9時ごろには雨で試合が中断していた。それでも「やらない方向という空気が強かったけど、(池田は)気持ちを持っていくのが難しいからって『やる気でいよう』とずっと言っていました」と、池田と組んで3戦2勝の坂井恵キャディー。その後も体をほぐすなど常に臨戦態勢だったという。

 結果的に第3日の最終18番でのバーディーが奏功し、東北福祉大の先輩、2位正岡竜二を抑えて今季3勝目。賞金ランキング2位谷原との差を3076万6429円に広げた。

 これで28日に発表される最新の世界ランクでは37位前後に浮上する見通し。これで最終戦の日本シリーズで下位に沈んでも年内の同ランク50位以内は確実となり、来年4月のマスターズ出場をほぼ確定させた。池田はマスターズ参戦に備え、来年3月22日開幕のデル・テクノロジーズ・マッチプレー選手権(米テキサス州オースティン)へ出場する意向。さらに同地からマスターズが開催されるジョージア州オーガスタへの航空便についてもすでに調べ始めているという。

 もちろん賞金王がかかる日本シリーズでも勝つことしか考えていない。「賞金王は後からついてくるもの。最後の日本シリーズを優勝で飾る、優勝争いする、と肝に銘じてやりたい」と強調する。「1年間で一番頑張った人間が賞金王になれると思う」。池田の言葉に、それだけの努力をしてきたという自負がにじんだ。【千葉修宏】