有村智恵(29=日本HP)が5バーディー、2ボギーの69をマークし、3アンダーで首位と3打差の5位につけた。今季平均スコアが76を超えていた鬼門の第1ラウンド(R)で初めて60台をマークして出遅れを回避。5年ぶりの優勝へ好発進した。

 有村は久々に笑顔で最初の18ホールを終えることができた。第1Rのアンダーパーは今季初。「“裏街道”に回らない位置で2日目を迎えることが少なかったので、そういう意味ではいいスタートが切れたかなと思います」とうなずいた。

 日本ツアーに本格復帰した今季、6試合中4試合で予選を通過。本人は違和感をぬぐえずにいた。「初日の課題をなかなか克服できず、2日目になぜか謎の力が働いて、ギリギリで予選を通過するっていう(笑い)」。第1Rの平均スコア76・3は、第2Rの72・3より4打も悪い。「何で2日目にできて、初日にできないんだろうというのが、すごくあった」。早々に上位戦線から脱落する自分に歯がゆさを感じていた。

 さらに直近KKT杯バンテリン・レディースは、やはり第1Rの81が響いて予選落ち。地元を襲った震災から1年がたち、特別な思いとともに臨んだ試合で結果を出せなかったショックは大きかった。「先週休んだ時も3日間くらい自分の中で失望感が消えなくて、なかなか切り替えられなかったですね」と振り返る。

 メンタルトレーナーの指導を受けて気持ちを上向かせると、ウオーミングアップのルーティンを変えた。サッカー選手が行うような体を大きく使った動きを多く取り入れ「体の硬さが取れるまで数ホールかかっていたのが、1番のティーショットから体を柔らかく使えた。気持ちも攻撃的になれた」。9番は20メートル超を沈めるバーディーに拳を握り「いい時って、こういうことが起きる。乗っていけた」。好調なショットに、要所でパットがかみ合った。

 「もっと上を目指していきたい。2日目に気を抜かないように、守らず攻めていきたい」。今季最高のスタートにも、ホールアウト後のパット練習は1時間以上に及んだ。【亀山泰宏】