<男子ゴルフ:マンシングウェアKSB杯>◇2日目◇23日◇岡山・東児が丘マリンヒルズGC(7072ヤード、パー72)◇賞金総額1億円(優勝2000万円)

 石川遼(16=パナソニック)が、意地の猛チャージを見せた。課題のショットが飛躍的に改善し1イーグル、4バーディー、1ボギーの67と前日より11打もいいスコアをマーク。通算1オーバーの77位で2打及ばず、ツアー3戦連続予選落ちとなったが、次戦26日の全米オープン日本予選(大阪・茨木CC西C)での本戦切符獲得に、確かな手応えをつかんだ。谷原秀人(29)が通算12アンダーで単独首位に立った。

 潤んだ目を見開いて、遼クンが現実を受け止めた。「さみしいですね。あと2日間プレーしたかった。でも、昨日『別人のようなゴルフをしたい』と言った通りにやれた。同じコース、同じコンディションで、11打もいいプレーができました」。昨年王者のプライドを爆発させたこの日の猛チャージを振り返った。

 攻め続けた。インスタートの15番パー5で左6メートルのイーグルパットは外れたが、楽々バーディーで流れを呼び寄せた。朝の練習で初めて使ったシャフトが0・25インチ短い45インチの新ドライバーと、今大会から採用の5番ウッドを駆使し、フェアウエーをキープした。

 5番では10メートルを沈めイーグル。ツアー通算3個目だが、パー5の2オン1パットという自慢の飛距離を生かした形では初めて。両手を握りしめて喜んだ。続く6番もバーディー。惜しくも予選突破には2打届かなかったが、4月のつるやオープン2日目以来、8ラウンドぶりのアンダーパーと復調した。

 父の一喝に目が覚めた。前日の最初の1番で、ラフに飛んだ第1打をOBと思い込み、5分間認められる球捜しを2分で断念。ダブルボギーと出遅れて、その後の大崩れを招いた。父勝美氏に「お前は、どんな時でもあきらめない男じゃなかったのか?」と詰問され「僕が甘かった。自分のボールを信じてあげるべきだった」と猛省。6オーバーの絶望的なスタートから、この日はひたむきにスコアを伸ばし、ギャラリーを沸かせた。

 昨年、高校1年生でゴルフ史に残る偉業を成し遂げた舞台で、今年は勝負の厳しさを思い知った。だが、この悔しさは3日後の全米オープン予選にぶつける。「16人中3人の枠は大きい。今日のようなプレーをすれば、チャンスはある」。すべての経験を糧にして、1年生プロ石川遼の挑戦は続く。【大石健司】