<男子ゴルフ:マンシングウェアKSB杯>◇最終日◇25日◇岡山・東児が丘マリンヒルズGC(7072ヤード、パー72)◇賞金総額1億円(優勝2000万円)
谷原秀人(29=フリー)が、通算18アンダーの270で今季初優勝、ツアー通算7勝目を挙げた。65を出した前日との風向きの変化に戸惑い、この日は1バーディー、2ボギーの73と失速も、2位と6打差スタートの貯金を生かし、余裕で逃げ切った。父直人さん(59)とともに、応援に訪れた同郷の今田竜二(31)の父隆史さん(62)の前で、全英オープン予選ランクで事実上最上位に浮上。26日の全米オープン最終予選突破と、今季の賞金王獲得もあらためて宣言した。
ほろ苦い谷原の「完全優勝」だった。苦しみながらたどり着いた18番、1メートルのウイニングパットを沈めると、控えめにガッツポーズ。独走Vを予告した前日とは対照的に「いや~冷や汗ものでしたね。情けないです」と照れ笑いした。
最初からぎこちなかった。65と爆発した前日とは逆の南風に、距離計算が狂った。いきなり1番で、第2打がグリーン奥のラフまで飛び込む。強風が名物の全英オープンで06年に5位に入った実力者も、スタート直後での想定外の事態に戸惑った。
大崩れにつながりかねない状況を、3週前からバッグに入れたロフト角60度のウエッジに救われた。ピンまで30ヤードの下りのアプローチ。「絶対転がしたくない場面で使う」新兵器で、球を軽く浮かせてエッジに乗せ、ピン横10センチまで寄せてパーにしのいだ。その後もショットが乱れたが、状況に応じて53度、56度、60度の3本のウエッジを巧みに使い分け、耐え抜いた。「このやり方を覚えちゃったからもう抜け出せない。メジャーでも使います」とにんまりと話した。
隣県の広島から、駆けつけた家族や知り合いに交じって、ゴルフを始めた12歳からあこがれる2年先輩の今田の父隆史さんを見つけて仰天した。「今田さんのお父さんまで来てくれるなんて」とうれしかった。初めて谷原の試合を見た隆史さんは「竜二と違って中学からゴルフを始めたのに、ここまで強くなるなんて天才ですよ。今後はメジャーで互いに刺激を受けながら相乗効果で成長してほしいですね」と目を細めた。
大ギャラリーを前にした優勝者スピーチで「賞金王を取ります」と堂々と宣言した。これで全英予選ランクは有資格者の片山を除く首位に立ち、26日は石川遼ら11人と2枚の全米切符を争う。「毎年、メジャーに出なかったら、レベルアップしない。賞金王だって自信がなければ言いませんよ」。オフに鍛え上げた肉体は誰にも負けない。一昨年は中盤以降に故障に苦しみランク2位に甘んじた。昨季は前半戦をスイング改造に費やして、2勝止まりだった。機は熟した。今季はこの勢いのまま走り抜く。【大石健司】

