<男子ゴルフ:バナH杯KBCオーガスタ>◇2日目◇29日◇福岡・芥屋GC(7173ヤード、パー72)◇賞金総額1億円(優勝2000万円)

 石川遼(16=パナソニック)が「絶叫チップインバーディー」で、予選落ちの危機を乗り越えた。予選通過ラインぎりぎりの通算3オーバーで迎えた最終18番パー5で、グリーン奥ラフからの第4打を直接沈め、喜びを爆発させた。73で回り、同2オーバー、146の42位でツアー3戦連続予選突破。ツアー外競技の関西オープンに続く「2週連続V」を目指し、残り2日でチャージをかける。星野英正(30)が同6アンダーで単独首位に立った。

 右腕を下から突き上げ、ほえまくった。土壇場での劇的アプローチに、まるで優勝したように石川ははしゃぎまわった。「ボギーにしたら明日はプレーできないなと思っていた。イメージ通り打てたけど、まさか入るとは思わなかった」。

 絶体絶命だった。カットライン上の通算3オーバーで迎えた最終18番パー5。ボギーなら予選落ち。右ラフからの第3打はグリーン右奧にこぼれた。残った15ヤードのアプローチ。ヘッドが抜けにくく難しい逆目のラフからフワリと上げた球はグリーンに落ち、カップに吸い込まれた。

 「逆目なんて大嫌いで去年は寄るイメージなんて1%もなかった。それがツアーで戦うようになって、プロの打ち方をそばでみて、練習もした」。プロ初優勝(関西オープン)の翌週で、ぶざまな姿は見せられなかった。首位と8打差。優勝争いとは違う緊張感を味わい、2週連続Vへ望みもつないだ。

 「予選通過しただけで、ああいうリアクションはどうなの?

 と思う人もいるかもしれないけど、自分にとっては4日間やることは大きな意味を持つ。あと2日でアンダーパーに入れるようにしたい。」。予選2日間の観客数は、昨年比約倍増の5727人。夏休み最後の週末を「遼劇場」で沸かせるつもりだ。【木村有三】