<女子ゴルフ:LPGAツアー選手権リコー杯>◇最終日◇11月30日◇宮崎・宮崎CC(6442ヤード、パー72)◇賞金総額1億円(優勝2500万円)

 実力と人気を兼ね備えた新時代の女王が誕生した。古閑美保(26=キリンビバレッジ)が、プロ8年目で初の賞金女王に輝いた。幼少時代は、父宏二郎さんの指導で少年野球のチームで体力強化。17歳からは不動裕理、大山志保を育てた清元登子・日本女子プロ協会前会長(69)に師事し、技術と精神面を鍛え、姉弟子2人に続いて女王の座についた。愛くるしいルックスに、大胆な言動でも注目される26歳は、2年後の10年の米ツアー挑戦も視野に入れ、日本女子ゴルフ界の主役になる。

 奇跡の逆転女王にも、古閑に涙はなかった。「意外と出なかったですね。興奮したけど」とケラケラ笑った。プレーオフに備えてパット練習したのはほんの一瞬。「感覚が良かったので。バナナでも食べに行こうと思って、すぐロッカー(室)に戻ったんですよ」。

 父宏二郎さんの指導を受け「女子プロ野球選手第1号」を目指した小学生時代、紅一点の「エースで4番」として活躍。将来なりたい職業に「お金持ち」と書いた。小2のときに尿毒症にかかり、目が見えなくなりかけた。父宏二郎さんは「おれは死んでもいいから子供だけは助けてください」と神社に日参してくれたという。10月、脳梗塞(こうそく)で倒れた父が見守る前での女王戴冠に古閑は「親孝行ですよね」と目を輝かせた。

 17歳から清元登子に指導を仰いだ。門下生に不動、大山もいた。「水も飲まず、トイレも行かず練習する」不動を見習って、球を打ち続けた。「(賞金女王に)なってないのは私だけだったので、なれて良かった。先生に習ったら、みんななれるんじゃないかな」と笑わせた。この日も「勝負は最終日の14番からよ」という師匠の言葉を胸に刻み、13番以降は4バーディーを奪取。大逆転劇を呼んだ。

 今大会の「メジャー1勝+賞金女王」で、09年から5年シードを得た。来季は日本で2年連続女王を狙うが、米ツアー挑戦の夢も抱く。「行くときは向こうに拠点置いて、全部出るくらいのつもりでやりたい。QTは受けるかもしれない」。早ければ2年後の参戦を目指すことをにおわせた。

 1日は地元熊本で週刊ポストのグラビア撮影を予定。6~7日は韓国・済州島で日韓女子プロゴルフ対抗戦に、日本代表として出場する。新女王は今後も世間を騒がせてくれそうだ。【木村有三】