<米女子ゴルフ:全英リコー女子オープン>◇最終日◇2日◇英・ロイヤルリザム・アンド・セントアンズGC(6492ヤード、パー72)

 【ブラックプール=木村有三】2週連続Vを目指した宮里藍(24=サントリー)が、惜しくもメジャー初優勝を逃した。前半で1つスコアを伸ばし、一時は首位に並んだが、17番パー4で痛恨のダブルボギー。73で通算1オーバー289、自己最高位タイの3位に終わり、77年全米女子プロの樋口久子以来の日本人2人目のメジャー制覇はならなかった。

 メジャー優勝は、手が届きそうで届かなかった。宮里藍は4打差あった首位マシューとの差を前半でじわりじわりと詰め、10番パー4終了時に肩を並べた。だが、3日間1度もパーを取れなかった苦手の14番パー4でボギー。15番でバーディーを取り返すも、17番で第1打をバンカー、第2打を深いラフに入れて痛恨のダブルボギー。後半にスコアを伸ばしたマシューに振り切られた。

 それでも、宮里藍の表情は満足感にあふれていた。「すごく頑張ったと思います。いい緊張感の中、最後まで自分を見失わなかった。17番はパーを取ろうと攻めた結果だから仕方ないですね」。言葉通り、精神面の成長を見せつけた。

 1番パー3でボギースタートも、2番パー4でバーディー。3番パー4で第1打をポットバンカーに入れ、再びスコアを落とすも、6番、7番と続くパー5でバーディーを重ね、右拳を握った。

 その姿にコーチで父の優氏は「よしっ。いい顔をしている」と喜び、母豊子さんは早くも涙ぐんだ。朝食に、ほうれん草入りのオムレツを用意し、宮里藍は「うん、おいしい」と言ってポパイのようにもりもり食べたという。04年ダイキンオーキッドでプロ初優勝を果たした最終日の朝は、緊張でバナナさえノドを通さなかったが、5年の時を経てハートも強くなっていた。

 前週エビアンマスターズで米女子ツアー初制覇を果たし、自信と優勝の感覚を取り戻した。宮里藍自身も「ドライバーに苦しんでいた去年の5位の時とは違い、しっかり優勝争いに入り込めた」と振り返った。

 メジャー通算19度目。04年全英では1メートルのパットを何度も外して予選落ち。07年全英は、最終日17番でOBを連発し、長いスランプの起点になった。昨年最終日は、一時首位に1打差まで迫って5位。不調脱出のきっかけをつかんだのも全英だった。

 この日、ゴルフの女神は宮里藍にはほほ笑まなかった。それでもこのV争いの経験は大きい。05年2月、北田瑠衣と組んで第1回W杯を制して「メジャーでの優勝はもう夢じゃなく、目標になった。世界一の選手になりたい」と宣言した。06年から世界最高峰の米ツアーで戦い、苦難も乗り越えた。「メジャーの優勝はもう手が届くところまで来たと思います」。目標を達成する日は、確実に近づいている。