<男子ゴルフ:VanaH杯KBCオーガスタ>◇最終日◇30日◇福岡・芥屋GC(7146ヤード、パー72)◇賞金総額1億1000万円(優勝2200万円)

 2打差4位から出た池田勇太(23=フリー)がコースレコードタイの63で回り、通算21アンダーの267で並んだ今野康晴(36)とのプレーオフを制し今季2勝目を挙げた。賞金ランクは池田が1位に浮上した。

 特注の青のスリータックズボンがグリーン上に映えた。「21世紀のジャンボ」を目指す池田が、6月の日本プロに続く今季2勝目で、賞金ランク1位に浮上した。「まだ今年は半分くれえだろう。半分じゃわかんねぇべよ。すぐ抜かれるよ」。独特のべらんめえ調で照れたが、表情には満足感が漂った。

 驚異的な猛チャージだった。首位の石川と2打差4位でスタート。前半で2つスコアを伸ばすと、後半は11番から5連続バーディーで石川に並び、17、18番も連続バーディーで逆転した。後半インは圧巻の29。自己ベストでコースレコードタイの63でホールアウトすると、今野とのプレーオフも2ホール目のバーディーで決着させた。

 メジャー初出場となった7月の全英オープン後、左太ももの肉離れを起こした。石川が今季2勝目を挙げたサン・クロレラ杯は強行出場して3位に入ったが、先週の関西オープンは欠場。球を打ち始めたのは先週の水曜からだった。

 そんな逆境の中での好スコアは、6歳下のライバルの存在が大きかった。「遼が(スコアを)伸ばしてくるのは分かっていた。伸ばせるところまで伸ばそうと思った」と、最後の1打まで集中力を切らさなかった。石川がプロ初優勝した昨年8月の関西オープンでは4打差2位だった。「どこかで刺激にはなっている」。

 約74万円差で2位石川を抑えて賞金ランク首位に立った。スタイリッシュな17歳の石川と、3タックズボンを愛用するなど「昭和の薫り」を漂わせる23歳の池田。若い対照的なキャラクターが賞金王争いを演じている。90年以降の尾崎将司の時代から昨年まで19年間で、賞金王18人が30歳以上のベテランだった。石川と池田は年齢を2人合わせても40歳。男子ゴルフ界も世代交代を迎えつつある。【田口潤】