スポーツ新聞の打撃成績表を見る。そこにカタカナ表記が極端に少ないことに気づく。特にセ・リーグだ。5月1日現在、規定打席到達打者の中、外国人選手は2人だけ。オスナとサンタナのヤクルト勢が上位にいる。

今年も新しい外国人選手が入ってきた。3月、4月はやはり日本人投手の投球に慣れずに苦戦することは多いが、今年は特にその傾向が強い。やはりヤクルトの2人でわかるように、日本野球の経験がある、なしは重要な要素で、オスナ、サンタナはさすが、と言える。

では阪神の外国人野手はどうか。監督の岡田彰布のコメントに少々驚いた。ノイジーが1試合4安打を記録した試合後。トラ番にこう語っている。「ノイジーなあ、えらいよ。何があったかわからんけど」と珍しく褒めていた。技術的なことにも触れ「バットを打つ時に立てているやろ」と岡田の分析を明かした。

昨年オフ、ノイジーの処遇について、岡田は2年目の契約は難しい…との個人的な見解を示していた。もし契約更新するには、これまでの打撃内容を見直すこと。それまでバットを寝かせて構え、それによってタイミングがズレて、差し込まれる打球が多かった。だからバットを少しでも立てて構え、早く始動することを条件にした。

さらに球団が年俸も抑えて提示。ノイジーがこれをのみ(他に新外国人候補がいなかったこともあるが)、2年目の契約が完了した。確かに、わずかではあるが、バットを立てタイミングを計るようになっている。これを境に結果が出るようになった。かたくなをなくしたノイジーを「えらい」と認めた。これで5番、6番は任せられる。岡田はそう考えている。

もう1人、阪神の外国人バッターはいる。ミエセスであるが故障によって大きく出遅れた。ようやく2軍で実戦を積んでいるが、岡田にとってこれは誤算だった。昨年オフのこと。去就が微妙なノイジーとは反対に、ミエセスの残留は早々と決まった。それは岡田の意向が大きく影響した。「経験を積めば、絶対に大化けするはず。2年目の伸びしろという点でオレは期待している」。

それがいまのところ、逆の結果として出ている。ノイジーの変貌とミエセスの停滞。これを岡田に問うた時、こうつぶやいた。「ミエちゃんな、ちょっと人気者になり過ぎたかな」。昨年の優勝時、ビールかけの場面で岡田はミエセスをイジり、これが大うけでミエセス人気はさらに沸騰。人気が出過ぎて、これが災いしたのでは…と振り返っていた。

もちろん、いまもミエセスに対する期待感は薄れてはいないが、現状は彼の出番はない。ノイジーが悪ければミエセスが、という想定もいまは無理筋となっている。

チームの基本方針ではあくまで外国人選手は軸ではない。そんな中、ノイジーは役割を果たしている。1軍が遠いミエセス…。外国人選手の明と暗がくっきりと表れている。(敬称略)【内匠宏幸】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「岡田の野球よ」)