<女子ゴルフ:LPGAツアー選手権リコー杯>◇最終日◇29日◇宮崎・宮崎CC(6508ヤード、パー72)◇賞金総額1億円(優勝2500万円)

 必死に笑顔を振りまこうとしても、ひと粒ずつ涙がほおを伝った。指でぬぐっても、涙は途切れずこぼれ落ちた。今季全34試合にフル出場した最終ラウンドの18番。入れれば横峯に並ぶ8メートルのバーディーパットは、カップ手前20センチで止まった。女王戴冠へ全力で挑んだ諸見里しのぶ(23)の涙腺が緩む。たった1打届かず、8月NEC軽井沢から15週守ってきたランク1位の座を、最後に横峯に明け渡した。

 「悔しい気持ちがすごくあったけど、最後は緊張がとれて、安堵(あんど)感もあった。すごい緊張だったので、その中で自分のベストを尽くせたかな、と」。

 7番までに2つスコアを落とす苦しい展開でも、夢に向かって必死に粘った。8番と9番で5メートルを沈めてバーディー。12番でも6メートルを決め、2組前で回る横峯と競り合った。だが、横峯が奇跡的なバーディーを奪った15番で痛恨のボギー。17番で6メートルを沈める意地を見せたが、わずか1打差で女王を逃した。

 これまで携帯ゲームで楽しんでいた時間を、今年は読書に充てた。武田信玄など歴史上の人物の苦労や勝負の心得が書かれた本を好んで読むたび「私なんて、まだまだ」と心にムチを入れてきた。「実戦を続けた方が、うまくなる」と疲労を心配する声をよそに、試合にも出続けた。史上初の皆勤女王も目前だったが、勝負は無情だった。

 「これまでの私なら前半でパニクるところ。気持ちは強くなったと思う」。メジャー2勝を含む年間6勝を挙げた飛躍のシーズン。成長した手応えと、悲劇を味わった悔しさ。ともに忘れず、来季こそ女王の座をつかみ取る。