<米女子ゴルフ:ショップライト・クラシック>◇最終日◇20日◇米ニュージャージー州ギャロウェー、ドルチェ・シービュー・リゾート(パー71)◇賞金総額150万ドル(約1億3500万円)優勝22万5000ドル(約2025万円)

 宮里藍(25=サントリー)が、ついに「世界の女王」になった。3位スタートの最終日は7バーディーを奪い、64の好スコアをマーク、通算16アンダーの197で米国本土初勝利となる逆転優勝を飾った。世界ランキングでも申ジエ(韓国)を抜いて、男女含め日本人初の1位になる。今季9戦目で4勝を挙げ、岡本綾子が賞金女王に輝いた87年の勝利数に並ぶ日本人最多タイ。24日開幕の全米女子プロ選手権(米ニューヨーク州ローカストヒルCC)で、日本人では77年同大会の樋口久子以来のメジャー制覇に挑む。

 滑らかに転がったボールがカップに吸い込まれ、米国の大地に乾いた音が響いた。その瞬間、宮里藍が大きく両手を天にかかげた。最終18番、後続を3打差引き離し、優勝を確実にする3メートルのバーディーパットが決まった。3万人のギャラリーから祝福され日本人初の世界ランク1位プロゴルファーが誕生した。

 宮里

 すごくスペシャル!

 この瞬間は一生忘れない。昨日は誕生日で、本当にラッキー。今季4勝目で、本土でやっと勝てた。夢見てたし、うれしい。

 あこがれ続けた、米国人に囲まれての米国での優勝セレモニー。19日に25歳を迎えたばかりの笑顔に、白い歯が輝いた。

 2打差を追った最終日。2、3番の連続バーディーで首位をとらえた。9番の残り30ヤードのラフからの第3打。軟らかい軌道を描いたボールはピン1メートルにピタリ。小技で楽々バーディーとして1差抜け出した。「集中力を欠かさず最後もバーディーが取れた」。

 重圧を乗り越えた。5月のオチョア引退後、世界ランク1位になった申ジエが盲腸で先週から欠場した。「みんなが『1位はどう』って聞いてきて。自分も考え込んだ」という。先週は予選落ち。大会前日の17日、シーボーン・キャディーに悩みを打ち明けた。30分以上話し込み「何に集中すればいいかがはっきり見えた」と、迷いが晴れた。

 思い描くことがある。「アニカ(ソレンスタム)もロレーナ(オチョア)も強さが圧倒的にずばぬけていた。私の場合は、みんなが『こういうちっちゃな子でもなれるんだ』って思ってくれて、身近に感じてくれれば」。プレーでは飛距離の不利を、小技などの技術でカバーする「宮里スタイル」を確立した。親近感のわく女王が目標だ。

 今季4勝目で、早くも87年岡本綾子の最多記録に並んだ。次は岡本も手が届かなかったメジャー制覇を目指す。77年に樋口久子が日本人唯一の優勝を飾った全米女子プロは目前。「ジエも戻ってくる。ポイントを重ねていかないと(世界ランクは)ひっくり返される。いま自分が持ってるものに自信を持てば、来週も毎日毎日楽しんでラウンドできる」。小さな新女王が名実ともに頂点に君臨する。