【カーヌスティ(英国)25日=塩畑大輔】エビアン・マスターズで今季初優勝を飾った宮里藍(26=サントリー)が、海外メジャー初制覇へ気持ちをリセットして父優さん(65)との「特別特訓」に着手する。28日に英カーヌスティ・ゴルフリンクスで開幕する全英リコー女子オープンに備え、優勝を決めた24日に英国へ移動し、25日から練習を再開。父とともに硬いグリーンを攻略する全英仕様の「ショット」の特訓をスタートさせた。

 今季初優勝を飾った宮里藍は、上田や宮里美らからペットボトルの水を振り掛けられて祝福された。「日本にいいニュースを送れてよかった。何とか1勝したいと思っていたので、正直ほっとしました。後は勝ち進むだけです」と振り返った。歓喜の余韻に浸ったのはそこまで。新たな戦いへ向け、その日のうちに英国へ移動した。

 初優勝した勢いを全英につなげる…全英はそんな甘い舞台ではない。それを宮里藍は誰よりも知っていた。コースはエビアンと違い、硬いグリーンがショットをはじく。「同じゴルフでは勝てない。でも7回も出ていて経験もありますし、調整は難しくない」。自分のゴルフを全英仕様に変えるため、早々に気持ちを切り替えた。

 現地では父優さんと対策特訓に取り組む。硬いグリーンの対応策の青写真はできている。「藍はパワーのある海外の選手と比べてボールを止める力で劣る。その分、グリーンの手前から転がさないと。今週のように直接グリーンに落とすゴルフでは通用しない。試合までにきっちりやらせます」と優さんは特訓プランの一端を明かす。コース近くに家を借りて、母豊子さん(60)が手料理をつくる。万全の環境を整えた。

 海外メジャー初制覇は悲願でもある。一方で今回も「日本のために」の思いが強い。エビアンでは優勝直後のスピーチで、号泣しながら「日本のみなさん、力を合わせて頑張りましょう」とメッセージを発信した。公式会見では優勝賞金の一部を寄付する考えも明かし、「この優勝で1人でも元気になってくれたらうれしい。その思いが強すぎて、うまくいかないこともあったけど、今は日本のエネルギーになってくれたらうれしい」と話した。その思いは全英でも大きなモチベーションになっている。

 09年にエビアンで米ツアー初勝利を飾った直後も、全英で3位と健闘した。「W杯のなでしこジャパンの活躍に、みんな刺激を受けていた。今大会の日本勢は、すごくいい雰囲気だった」と宮里藍。ゴルフ版「なでしこジャパン」のリーダーは、海外メジャーでも日本勢を引っ張り、被災地にエールを送り続ける。