<米女子ゴルフ:全英リコー女子オープン>◇初日◇28日◇英・カーヌスティ・リンクス(6490ヤード、パー72)

 【カーヌスティ(英国)=塩畑大輔】悲劇が日本のヒロインを襲った。エビアン・マスターズで優勝し、海外メジャー初制覇が期待される宮里藍(26=サントリー)は、76と大きく出遅れた。動きの硬さもあって右方向へのミスショットが続き、スタートから5連続ボギー。13番パー3ではアドレス後にボールが動き、ペナルティーを受ける不運もあった。

 もはや多少の不運には動じなかった。13番パー3。宮里藍は1メートルのパーパットの構えに入った後「あっ」と声を上げた。そして英語で静かに「動いた」と自己申告。アドレス後にボールが動いたため1罰打。さらにこのパットを外し、ダブルボギーとしてしまった。

 「全米女子プロ選手権でも同じことがあった。1カ月に2度もあるのか…とキャディーと話していました」。不運は序盤から続いていた。1番パー4では狙い通りの第2打が、グリーン手前の斜面に当たって勢いが増し、グリーンオーバー。3番パー4では第1打がフェアウエー上の打球痕に入ったため、第2打をミートできず小川に入れた。

 5番パー4でも、第1打がフェアウエーの起伏に導かれ、深いバンカーに。このホールで5連続ボギーとすると、嘆きを通り越し苦笑いが浮かんだ。「リンクスではいろいろなことが起きる」。

 もちろん、不運だけが悲劇の原因ではない。「スイングのタイミングがずれていて、ボールが右に行きがちだった」。第1打が入ったのは、いずれも右バンカー。アイアンやアプローチも、練習ラウンドよりは大きく精度が落ちていた。

 18番パー4では第2打が向かい風に押し戻され、グリーン前の小川に入りそうになった。99年全英オープン最終ホールで優勝を逃した「バンデベルデの悲劇」の再現をまぬがれ、観戦していた父の優さんは「まだ勝利の女神は近くにいる」と安堵(あんど)のため息をついた。宮里藍は「1打1打をしっかりと」といつもの言葉で巻き返しを誓った。