<男子ゴルフ:日本オープン>◇2日目◇14日◇千葉・鷹之台CC(7061ヤード、パー71)◇賞金総額2億円(優勝4000万円)

 ツアー9勝の佐藤信人(41=ミズノ)が、9年ぶりの復活勝利へ2打差3位に浮上した。手が動かなくなる“イップス”で悩んでいたパットが良化し、69で回って通算3アンダー。史上7人目の日本タイトル4冠目へ、好位置で決勝ラウンドに駒を進めた。ネベン・ベーシック(33)が通算5アンダーで首位。

 41歳の佐藤が、久々に日の当たる場所へ帰ってきた。ホールアウト後、かつて賞金王を争った43歳谷口徹から声が飛んだ。

 谷口「どうしたん?」

 佐藤「秋の珍事です」

 谷口「日本の珍事やろ」

 佐藤「うるさいよ!」

 元ライバルとの、やりとりに笑みが浮かぶ。2打差3位で、昨年9月フジサンケイ以来の予選突破。「上出来です。最高です」と、静かにつぶやいた。

 97年から6年間で9勝した実力者。だが、賞金ランク2位に入った02年以降は、パット時に手が動かなくなる“イップス”に悩まされた。昨年からはメンタルコーチの岡本正善氏に師事。まだ完全に克服していないが「手が変な動きをしても過剰に反応せず、受け流すことが出来てきた」。この日は12、13番で1メートルを確実に沈めて連続バーディー。復調したパットで、難コースを攻略した。

 今週勝てば、02年日本プロマッチプレー以来9年ぶりの勝利。日本タイトルも、7人目の4冠目を手にできる。「明日はもっと緊張するだろうし、その中で普段やっていることがどれだけできるか。結果がともなって、カムバックできたら最高ですね」。見えてきた復活ロード、残り2日間も全力で走り抜く。【木村有三】