<女子ゴルフ:森永製菓ウイダーレディス>◇初日◇28日◇千葉・森永高滝CC(6652ヤード、パー72)◇賞金総額7000万円(優勝1260万円)

 有村智恵(23=日本ヒューレット・パッカード)が5バーディー、3ボギー、2アンダーの70で回り、首位と2打差の4位と好発進した。大会主催者の森永製菓と契約しており、この日は同社社員で親交のある北京五輪フェンシング銀メダルの太田雄貴(25)から激励を受けた。優勝争いのときに連絡を取ると勝つとのジンクスもある「勝利の神様」を味方に優勝を目指し、逆転賞金女王へ前進する。服部真夕(23)と金ナリ(韓国)が4アンダーで首位に並んだ。

 見えない力が働いた。有村はラウンド前に、五輪銀メダリストの太田から「パワーを注入するよ」と握手してもらった。1番ボギースタートも、その後3バーディーを奪って後半に折り返す。後半は15、16番で連続ボギーも、最終18番で残り87ヤードの第3打をピンそば30センチに寄せてバーディーを奪取。2打差4位の好発進に「太田さんのパワーが効いた」と笑顔を見せた。

 太田とは08年、なでしこジャパンの沢穂希、重量挙げの三宅宏実ら五輪選手との食事会「アスリート会」で知り合った。友人から「勝利の神様」に変わったのは2年前だ。5勝を挙げた09年。優勝争いの最終日の前には必ず、太田に必勝祈願のメールを送った。「勝ちたい。勝たせてください」。不思議と最終日は好プレー連発で、優勝を引き寄せた。一方で五輪翌年で疲労も募った太田は不振。「運気を吸い取ってしまいましたね」と謝罪したほど“御利益”を受けた。

 有村が契約する森永製菓の社員でもある太田から「優勝してほしい」とエールを送られた。現在賞金ランク4位。首位のアンとは残り5戦で約4538万円差と厳しい数字だが、苦しんだ両手首痛も回復してきた。「徐々に、いい時の自分に戻ってきている」。今大会を制して、逆転女王へ望みをつなぐ。【田口潤】