<男子ゴルフ:東建ホームメイト杯>◇第3日◇19日◇三重・東建多度CC名古屋(7109ヤード、パー71)◇賞金総額1億3000万円(優勝2600万円)

 宮里優作(33=フリー)が強風の中、4バーディー、1ボギーの68でまとめ、通算8アンダーで首位に1打差の2位に浮上した。プロ11年目の昨年12月に、日本シリーズでツアー初勝利を挙げた宮里優は、年をまたいで“国内2連勝”を狙う。ツアー3勝の丸山大輔(43)が通算9アンダーで単独首位に立ち、2位には5人がつけた。

 宮里優は楽しみにしていた。スタート前からコースには強風。アイアンショットが高弾道のため強風に弱かった宮里優が、今オフに中弾道が打てるよう練習してきたからだ。「沖縄育ちは風に強いと言われるけど、ボクは15歳まで(暮らしただけ)ですから。今日は練習の成果が試せると思った」。

 絶好の状況が7番パー4(418ヤード)でやってきた。この日、コース近くの桑名気象台で午後2時27分に最大瞬間風速14・9メートルを記録。強烈な逆風で、第2打はピンまで154ヤード。宮里優は無風なら8番アイアン(I)のところを6Iを握った。そのショットが風を突き切りピンを刺した。もう少しでイーグルという10センチバーディー。「あれで風の中でもスコアが伸びる手応えをつかんだ」。その後、2バーディーを重ね、通算8アンダーで首位に1打差に迫った。

 昨年12月の日本シリーズの最終18番。劇的チップインパーでプロデビュー11年目でツアー初優勝。膝から崩れ落ち号泣した。宮里3きょうだいの次男で「藍ちゃんのお兄ちゃん」は、未勝利の呪縛が解かれた。吹っ切れた大器が群雄割拠の今季賞金王争いでも“候補”に挙げられるほどになった。

 ホールアウト後、同組の賞金王2回の谷口徹に「うまいなあ」と声をかけられた。風に負けないショットを評価され「通算19勝をしている人に言われてうれしかった。(最終日は)余計なことを考えず集中します」。風に強くなり、気持ちまで強くなって、年またぎの“国内ツアー連勝”に挑む。【町野直人】