全英オープン選手権の会場となるロイヤルリバプールGCでは17日の開幕に向けて、石川遼(22=CASIO)が強風対策の新クラブで練習ラウンドを行い、好感触を得た。

 強風を低弾道ショットが貫いた。14日の練習ラウンド。石川は新しくバッグに入れた2番ユーティリティーを多用し、地をはうようなショットを放った。ここ数日で最も強い風が吹いた、未知の難コースで、1アンダーの好プレー。「これまで同じ距離を打つのに使ってきた6番ウッドより、3分の1の高さになるイメージ。220ヤード先に着弾させると、そこから100ヤードくらい転がる」と分析した。

 特に11番以降は海が近く、終始強い横風が襲ってくる。球が浮けば、数十ヤードも流されることもある。多くの選手がスイングに修正を加えて、低い球を打っていく。しかし「先も見据えてスイングをつくっている途中」と話す石川は、今回の試合のためだけに、低弾道ショットを打てるスイングに変える考えはない。

 ウッド型のユーティリティーは、ほとんど試合で使ったことはない。だが今回はクラブの力も借りて、スイングを変えずに風に対処する考えだ。石川は先々週優勝した長嶋茂雄招待セガサミー杯の時と同様「合宿の一環というイメージ」と、試合期間中も打ち込みを欠かさず、フォーム固めを進める。この日もラウンド前に、練習場で何と3時間もショットを打ち続けた。

 契約するキャロウェイ社のスタッフにはアイアン型のユーティリティーも準備してもらっている。海外メジャーに出るからには好成績を目指す。同時に将来を見据えた地固めも続ける。石川が新クラブで二兎(にと)を追って二兎を得る。