<女子ゴルフ:ミヤギテレビ杯ダンロップ女子>◇最終日◇28日◇宮城・利府GC(6499ヤード、パー72)◇賞金総額7000万円(優勝1260万円)

 プロ5年目の酒井美紀(23=国際スポーツ振興協会)が通算8アンダー208で、6月アース・モンダミン杯に続く通算2勝目を挙げた。4打差6位から出て、6バーディー、1ボギーの67で回り逆転勝ち。福島県いわき市出身で、女子ツアー唯一の東北開催の大会を制す念願を果たし、東日本大震災の被災者を含む東北の人々に元気を与えた。

 最終組より3組前で回った酒井は、18番パー5で残り102ヤードの第3打をピンそば1メートルにつけてバーディーフィニッシュ。プレーオフに備えたパット練習中に優勝が決まる幕切れに、「優勝した実感があまりなかった」という。だが、優勝会見の第一声は「自分でもすごいなと思う」。念願のタイトルを、鮮やかな逆転勝ちで飾った。

 「いつか勝ちたかった大会。まさかこんなに早く勝てるなんて」。本大会への思い入れは強かった。福島から来たファンも多く、父正孝さん(60)の知人だけでも約30人。道路が完全に復旧しておらず、いわき市から車では従来の2倍の約240キロを走る。「その方たちのためにも恥ずかしくないプレーを」。いいイメージで戦うため、今大会では、初優勝した6月のアース・モンダミン杯時と同じシャツを着た。自宅も被災しており、勝つことで同じ境遇の人に勇気を与えた。

 03年大会には観戦に訪れ、当時アマだった宮里藍の優勝を見た。大勢のファンが興奮する光景に「嵐のコンサートみたい」。それまでなかなか身が入らなかったゴルフの練習に、一気に熱中するきっかけになった大会でもあった。

 調子が悪かった2週前、ゴルフ雑誌に載ったアンのドライバーショットの記事を切り抜いて勉強した。第1日にアンと同組になり、お手本を間近にし、ゆっくり上げるバックスイングなど参考にしたところショットが安定。そんな勉強熱心さも、勝利を呼び込んだ。【岡田美奈】