<男子ゴルフ:三井住友VISA太平洋マスターズ>◇第1日◇13日◇静岡・太平洋C御殿場C(7246ヤード、パー72)◇賞金総額1億5000万円(優勝3000万円)

 賞金ランク2位の藤田寛之(45=葛城GC)が5バーディー、ノーボギーの67をマークし、首位に立った。9月のダイヤモンド・カップで優勝後、ショット、パットの調子を落とし、6戦連続で第1日2ケタ順位発進と出遅れが続いていた。この日は師匠の芹沢信雄(55)のアドバイスもあって復調。強風の中、丁寧にグリーンを捉え、爆発的なパワーで圧倒する世界ランク3位のバッバ・ワトソン(36)と互角のスコアを出した。

 バーディーパットを打てなかったのは、わずか3ホール。最大瞬間風速13メートルの突風が吹き荒れる中、藤田は風に負けない強さと精度を兼ね備えたショットで、全体1位のパーオン率83・3%を記録した。「久々によかったです。自分のよい状態というのがよく分からなくなっていたけど、今日はいい球が出た」と素直に自分に合格点を出した。

 45歳の「中年の星」は9月のダイヤモンド・カップで今季3勝目。賞金ランク首位にも立った。しかしそこから左肩の痛みもあり、ショット、パットともに調子を落とした。もともと自分への評価は厳しい方でもある。「自分が非常につらい局面を迎えようとしていると感じる」など、前向きな言葉も影を潜めた。

 今週は師匠の芹沢が今大会に出場。じっくり話す機会を持つことができた。スイングの乱れの原因を自分に求めて、自分を追い詰め続けていたが、師匠からは「左肩のケガが原因」と指摘された。「自分を責めすぎてはいけない。自分の感覚は間違いではなかった」と気持ちが楽になった。また下半身リードのスイングへ修正をしたところ「ボールがつかまるようになった」と好感触も得た。

 後ろの組ではB・ワトソンがラウンド。終始藤田を1~2打リードし、15番パー4ではグリーン上の藤田の近くにドライバーショットを打ち込んでも来た。「打っちゃダメですよね(笑い)。飛ぶ人は大変だ」。平均で20ヤード以上ドライバー飛距離が違うが、藤田は藤田のゴルフを貫き、終わってみれば同スコア。日本代表として、世界一の飛ばし屋と優勝争いを演じる。【塩畑大輔】