<W杯スキー:女子モーグル>◇最終戦◇15日◇イタリア・バルマレンコ

 日本モーグル史上初のW杯種目別優勝を決めている上村愛子(28=北野建設)が24・50点をマークし、今季最終戦を5連勝で飾った。スキーW杯ではノルディック複合の荻原健司が、93年3月から94年1月にかけ、シーズンをまたいで達成した日本人連勝記録に並んだ。上村は通算7勝目。伊藤みき(中京大)は5位だった。

 もうだれにも止められない。上村は果敢に攻めて、5連勝で今季のW杯を締めくくった。全10戦中後半の5試合を制する圧倒的な強さ。荻原健のスキーW杯日本人連勝記録の5に並び、種目別2位のスドバ(チェコ)に143点差をつけた。「攻めることを心掛けた。今までの滑りと比べてミスがあり、自分ではちょっと(優勝かどうか)分からなかった」。表彰台ではクリスタルトロフィーにキスをして喜びを表現した。

 腰痛で前日練習ができなかったが、その影響は感じさせなかった。予選がなくなり、決勝だけの1回勝負でも、得意のターンで最高得点をたたき出した。硬い雪でスキー操作が難しく、ターン技術がより要求されるコースが、強さを際立たせた。全日本の高野ヘッドコーチは「力のあふれたいい滑り。素晴らしいチャンピオンになった」とたたえた。

 上村は17日に凱旋(がいせん)帰国。今季最終戦となる全日本選手権(20日開幕、札幌)に出場し、日本のファンの前で女王の滑りを披露する。両ヒザのケガから復帰し、一から出直した今季は、最高のシーズンとなった。それでも、トリノ五輪金のハイル(カナダ)がケガで全戦欠場したように、楽観はしていられない。「10年がかりでここまできた。このまま強い選手でいたい」と総合Vにも向上心は保ったまま、2年後の10年バンクーバー五輪に臨む。