大相撲の松ケ根親方(53=元大関若嶋津)が、警視庁から指定暴力団山口組と関係が深いと指摘されている不動産会社社長から大阪市内のビルを借りて、3月の春場所(大阪市)の宿舎やけいこ場として使用していたことが21日、関係者への取材で分かった。日本相撲協会の特別調査委員会は調査を開始したと発表した。

 賭博問題を契機に暴力団排除を目指す相撲協会にとって新たな痛手となりそうだ。特別調査委は21日に事情を聴くために、松ケ根親方に名古屋場所開催中の名古屋から上京するよう要請した。

 春場所での反社会的勢力排除の協力を要請するために大阪府警本部を訪れた相撲協会の村山弘義理事長代行は、松ケ根親方の問題について「代行として協会側として、調査委とは別に事情聴取していかないといけないかなとは考えている」と、特別調査委とは別に独自調査する意向を示した。

 不動産会社社長は2年前に東京都内の地上げに絡み、弁護士法違反(非弁活動)容疑で逮捕、起訴され、執行猶予付きの有罪判決を受けた。捜査関係者によると、松ケ根親方と長年、交際があったという。

 不動産登記簿や捜査関係者によると、宿舎は大阪市東住吉区の5階建てビルに置かれ、部屋の力士らが春場所中に寝泊まりやけいこをした。不動産会社が1989年に建設し2002年に松ケ根親方が購入。その後、社長の親族が経営する不動産会社に売却された。

 社長は08年3月、弁護士資格がないのにビルの入居者に立ち退き交渉をしたとして警視庁に逮捕され、東京地裁は昨年1月、懲役2年、執行猶予4年の判決を言い渡した。捜査関係者によると、社長は、97年に神戸市のホテルで射殺された山口組最高幹部の宅見勝・宅見組組長と親交があったとされ、その後も山口組関係者と交際が続いた。

 松ケ根親方は鹿児島県・種子島出身。大関在位中に2回優勝。歌手だった高田みづえさんと結婚し話題になった。