「朝青龍」流の立ち合いは許さない!
14日初日の大相撲秋場所を前に、武蔵川新理事長(60=元横綱三重ノ海)が13日、審判部の親方衆を集めて立ち合いの正常化を指示した。北の湖前理事長体制では、互いの呼吸を合わせることを優先して「手つき」に関する指導はなかったが、新理事長は両手をついていなければ、仕切り直させるように通達。横綱朝青龍(27=高砂)ら、取組によって片手もつかずに立つ力士が横行する中、新理事長が「角界綱紀粛正」へ早くも動きだした。
初日前日恒例の土俵祭りが終わった直後だった。「集まってくれ」。イスから立ち上がった武蔵川新理事長が、両手を広げて土俵周りにいた審判部の親方衆23人を招集した。狙いは「立ち合いの正常化」だった。
武蔵川新理事長「立ち合いの乱れが目立ってきている。中には片手もついていない者もいる。ファンから苦情も来ている。片手をつき、もう一方の手はちょんとつくだけでもいいが、(両手を)ついていなければ、行司に関係なく(取組)を止めて、仕切り直させるようにしてほしい」。
突然のトップからの指示に、親方衆が背筋を伸ばして聞き入る。放駒審判部長(元大関魁傑)も部下たちに言い渡した。「(北の湖)前理事長との間では、手つき微妙でも『互いに呼吸が合っていれば』という話だったが、今後は徹底していくように」。呼応して親方衆からは「力士にも伝えるために、支度部屋に張り紙をしてほしい」との声が上がった。新理事長は「分かった。行司にもこの後で伝える」と返し、続いて土俵マナーにも言及した。
武蔵川新理事長「マナーの悪い力士がいれば、呼びつけて怒らないといけない。所作の乱れもある。その点も注意してほしい」。
大麻騒動の末、8日に就任した新理事長による初めてのアクション。わずか1分ほどのやりとりに強いリーダーシップが示された。北の湖体制で立ち合い、土俵マナーとも乱れが増えたのは事実。特に朝青龍は、昨年から中腰で手をつかないフライング気味の立ち合いが目立ち、ダメ押し、倒れた力士への蹴りもあった。前理事長は不問に付していたが、新理事長はすべてを取り締まる決意だ。
14日の初日、朝青龍ら上位が登場する幕内後半戦で審判長を務める貴乃花審判副部長(元横綱)は言った。「横綱、大関と上位ほど腰を割って相手を迎えいれる姿勢が必要。そうすれば自然と手はつくはずです。しっかり見ていきたいです」。自由奔放にしてきた土俵外だけでなく、土俵上でも朝青龍流はもう許されなくなった。【柳田通斉】

