<大相撲初場所>◇3日目◇12日◇両国国技館

 史上2番目の54度目の同一カード決戦が明暗を分けた。大関魁皇(37=友綱)が、関脇千代大海(33=九重)を送り投げで下し、幕内通算808勝目として、千代の富士を抜いて歴代単独1位になった。通算1000勝にもあと24勝に迫った。

 情け容赦ない相撲だった。魁皇は突進する千代大海の左をたぐって後ろにつくと、右の豪快な送り投げで土俵にたたきつけた。808勝目は「黄金の右」で達成した。「(記録は)気にしないようにしているけど、変に緊張しました。ああいうふう(後ろ向き)になれば…ね。力、入りましたけどね」と、穏やかに振り返った。

 千代大海とは54度目の対戦だった。同じ九州生まれで昔から仲もよかった。長い間、ともに大関として角界を盛り上げてきた。昨年九州場所で千代大海は関脇に陥落。進退をかけた今場所も2連敗と元気がなかったが、魁皇は「そういうことは考えないで。相手も思い切ってくるし、こっちも思い切って相撲を取ることが一番」と勝負に徹した。

 地元福岡県の麻生渡知事はこの日、魁皇に県民栄誉賞を贈ることを発表。郷里の直方市も1月15日に審査委員会を開き、表彰を決める予定。「ただ思い切ってやってきてよかった」と魁皇。ただ一方で「(場所は)始まったばかりだし、相撲に集中して。(感慨に)浸ってる暇はなんてないよ」と、今場所の相撲に気持ちを切り替えていた。