八百長問題の解明を目指す特別調査委員会は25日、東京・両国国技館で会合を開き、八百長に関与した力士、親方への処分案を大筋でまとめた。4月1日の会合で報告書を作成し、同日に招集される臨時理事会に提出。関与を認定した20人前後に、除名から出場停止の処分が下される。解明、処分、再発防止策に見通しが立ったことで、夏場所(5月8日初日、東京・両国国技館)開催の可能性が出てきた。

 約2時間半の会合で、処分案が大筋で合意に至った。1人ずつの案件を整理し、確認を取った。伊藤座長は「手続き的に整合性を取り、バランスが取れているか整理した。今日は大きな仕事をした」と話した。4月1日午前9時からの会合で報告書を完成させ、招集を要請した同日午前10時半からの臨時理事会で処分が確定する。

 調査委が関与を認定したのは、20人前後で横綱、大関は含まれない。竹縄親方(元前頭春日錦)、千代白鵬、恵那司の3人は関与を認めたことを考慮し、退職金を受け取れる引退勧告となる見込み。メールや聞き取り調査から関与を認定されながら、自らは否定している清瀬海らは、最も厳しい除名か解雇処分が進言される。出場停止の場合も、長期にわたる見通しで、監督責任を問われる師匠は降格処分となる。

 伊藤座長は「4月1日に、みんなが血湧き肉躍る話をします」と宣言。理事会後、夕方に予定される記者会見には、聴取を担当した弁護士を含む調査委7人全員が出席し、個人差がある処分を論理的に説明できる体制を敷くという。

 物証は警視庁から提供された携帯メールと、3人以外は誰も関与を認めていない状況は変わりない。否認している者への処分確定は難しく、裁判に持ち込まれる可能性も覚悟。伊藤座長は「(裁判に)耐えうるか分からないけど、最大限の努力をした。これから始まる可能性はある」と話した。「故意による無気力相撲懲罰規定」と協会の寄付行為の賞罰規定を巧みに適用したが、寄付行為の不備を指摘する声も出たという。

 現在、疑惑力士から提出された2台の携帯電話は業者に解析を依頼しているが、新たな証拠は期待できないため、4月1日を処分確定の区切りとする。当日は、角界史上最悪の大量処分が下される。一方で、処分なくして、先へは進めない。30日には再発防止策をまとめる大相撲新生委員会が予定されている。「調査、処分、再発防止策」の八百長問題解決の3点セットがそろえば、夏場所開催への条件が整ってくる。