16年ぶり2度目の出場となった九産大九州(福岡)は、春1勝を惜しくも逃した。2年生エース岩田将貴投手は、野茂英雄氏からアドバイスされて完成した左サイド変則投法で、近江打線を3安打に抑えたが、要所での四球やミスが響き失点。打線も決定打が出ず無得点に終わった。「体重を70キロ以上に増やして、球速130キロ台にしたい」と夏へリベンジを誓った。

 スピードアップしたトルネード投法で、夏のリベンジを誓った。九産大九州・岩田は「体重を増やして球速も最低130キロはないと、甲子園では戦えない」。味方の援護なく2失点で敗れたが、早くも夏に視線を向けていた。

 中学3年時に野茂英雄氏が代表を務める日本選抜で米遠征。横手投げだったが、野茂氏から腰や下半身の使い方をアドバイスされたこともあり、腰を大きくひねる独特の投法が完成された。最速120キロ台ながら、緩急を付けた投球で凡打を量産した。

 秋の悔しさを晴らしたかった。昨秋九州大会準決勝で九州学院にコールド負けした。体力不足を実感し、冬場は食事量を増やし、毎日縄跳びの二重跳び50回を5、6セットこなした。体重は5キロ増の67キロに。さらに、より打ちにくいフォームを追求。監督や部長、野手陣に意見を求めた。腰を大きくひねって体勢を低くしグラブを持った右腕を大きく外側に回すことで球の出どころが見づらくなるよう工夫した。森崎哲哉監督(56)は「よく頑張ってくれた。彼にとってはいい経験。夏に自信をつけてほしい」とねぎらった。

 岩田は「自信になった」と手応えをつかむ一方で、反省も忘れなかった。「(四球で)無駄な走者を出し打撃にリズムをつくれなかった。九州大会と同じように足を引っ張った。自分がチームの中心だと自覚しないと、ここに戻ってこられない」。昨秋、今センバツに流した涙は決して無駄にしない。【鈴木絢子】