仙台育英(宮城)の右腕エース佐藤世那(3年)が、頭脳的な投球で21年ぶりの夏8強入りに導いた。4回途中から救援し、5回2/3を2安打1失点。打者19人をわずか46球で料理した。「甲子園に来てから球威も上がっているし、今までで一番に近い球が投げられた」。直球は最速145キロをマークし、手応えを口にした。

 相手の狙いを読み切って、早打ちを誘った。「いつも振ってくれるボール球を完全に見切られて、追い込まれる前に振ってきた。ストライクゾーンに落とすフォークを増やした」と5回から攻め方を変え、4球で3者凡退に抑えた。6回も先頭から2人を真ん中付近のフォークで打ち取った。7回に失策絡みで1点を失ったが「指のかかりも良かった」と丁寧にコースを突き、凡打の山を築いた。

 8回2死走者なしの場面では、カウント1-2から「相手はフォーク狙いだろうから、真っすぐに反応できないと思った」と外角の141キロで見逃し三振を奪った。「頭に描いたとおりに投げられた。今日は100点に近い」。力で押すイメージを覆したプロ注目右腕が、東北勢初の優勝をたぐり寄せる。【鹿野雄太】