10月上旬に2年ぶりの米国取材旅行は、二刀流で大ブレークするエンゼルス大谷翔平投手(27)のそのフィーバーぶりを目の当たりにする旅でもあった。

10月1日からシアトルのTモバイルパークで行われたレギュラーシーズン最終の3連戦では、敵地であるにもかかわらず大谷ユニホームやTシャツを着たファンが予想以上に多く、驚いた。3連戦はどの試合もチケット完売の超満員で、1階の客席につながるコンコースを歩いていると「Ohtani17」の背中に、次から次へと出くわした。

エンゼルスファンとおぼしき若い米国人男性、40~50代の米国人女性、中南米系米国人の男性、アジア系の男女と、人種、年代、性別もさまざま。日本人親子が多く、幼い子どもたちも大谷の白いユニホームを着込んで応援に来ていた。声を掛けた白人の若い女性2人組は、大谷の顔が無数にプリントされたTシャツを着込み、ニューヨークの隣のニュージャージー州から大谷の今季最後のシリーズを見るためだけに来たと聞いて、さらにびっくり。

シアトル訪問の後にニューヨークへ飛び、大型書店巡りをした。大谷の投打2種類の写真が表紙を飾っているスポーツイラストレーテッド誌10月号を探すためだ。発売から少し日がたっているが月刊誌なのでまだあるだろうと思い、全米有数の書店チェーン「バーンズ・アンド・ノーブル」へ。だがマンハッタンの3店舗を回っても、どこにもない。すでに売り切れてしまっていたのだろう。

もう買えないかもしれないと、諦め半分で駅などにあるコンビニ店「ハドソン」に行ってみた。ペン駅というマンハッタンのど真ん中にある大きな駅の中のハドソンに、何と6段のディスプレーケースすべてに大谷表紙のスポイラがあった。さすが天下のスポイラだと、その大きなディスプレースペースに感心した。

ニューヨークのミッドタウンにある巨大なMLB旗艦店「MLBストア」には、大谷Tシャツを探しに行った。これは以前にも記事にしたのだが、MLBの人気選手約40人のTシャツが並ぶコーナーで、大谷Tシャツだけほぼ売り切れでXXLが数枚残っているだけだった。

実はそれでも諦めきれず、人気選手のTシャツコーナーを隅から隅までじっくり吟味していると、一番下の段の、隅の棚に別の大谷Tシャツがあることを発見した。エンゼルスのチームカラーである赤とはまったく別の色のもので、これは一体何だろうと手に取ると、今年のオールスターTシャツであった。大谷Tシャツがあまりにも品薄になっているため、苦肉の穴埋めでオールスターTシャツを大谷のものだけ置いているようだった。サイズは一番小さいものでLが残っているのみ。ニューヨークのショップでも大谷人気はすごかった。【水次祥子】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「書かなかった取材ノート」)