MLBのキャンプインまで1カ月を切ったが、FA市場にはまだ大物がかなり残っている。2度目の最優秀防御率とサイ・ヤング賞に輝いた先発左腕ブレーク・スネル(31=パドレスFA)、打率3割7厘、26本塁打、97打点をマークし一時期の不振から復活したコディ・ベリンジャー外野手(28=カブスFA)、自身初の2ケタ勝利を挙げチームの世界一に貢献した先発左腕ジョーダン・モンゴメリー(31=レンジャーズFA)、デビューから7年連続2ケタ本塁打をマークし三塁手として4度目のゴールドグラブ賞に輝いたマット・チャプマン内野手(30=ブルージェイズFA)は、いずれも今オフのFAトップ10内に名を連ねている選手だ。
FA交渉が解禁となった昨年11月から12月ごろは、エンゼルスからFAとなった大谷翔平投手(29=ドジャース)、オリックスからポスティングシステムでメジャーを目指した山本由伸投手(25=同)の契約が決まれば、雪崩式に他のFAも決まるだろうといわれていた。大谷と山本がFA市場の動きが遅れている原因とみられていたわけだ。ところが2人の契約が決まった後もFA市場の動きは鈍く、米記者の中には「市場の動きにオオタニとヤマモトはまったく関係がなかった」と首をひねる人もいた。
実は、先に列挙した未契約の大物FA選手はすべてスコット・ボラス氏が代理人を務めている。米国の代理人ランキングで常にトップに君臨し辣腕(らつわん)を表す「スーパーエージェント」の称号を持つ同氏は、最高の契約を勝ち取るために交渉に多くの時間をかけることが非常に多い。昨オフには同氏を代理人にしている吉田正尚外野手(30)が、ポスティングの申請翌日にレッドソックスと電撃合意しているが、あの電光石火ぶりはかなりまれなケース。圧倒的な好オファーがあれば即決する瞬発力も持ち合わせているが、求める契約が得られるまでは粘り強く時間をかけ、2月のキャンプの時期にまだ契約が決まらなくても慌てて契約をまとめるようなことは決してしない。
クセの強いボラス氏だけに合う人と合わない人が極端に分かれる。合わない人からは「悪魔」「ハイジャッカー」などのあだ名で呼ばれるが、FAを迎えるような重要な時期に代理人をボラス氏に乗り換える選手は多い。
今オフのFA選手では、藤浪晋太郎投手(29=オリオールズFA)も代理人はボラス氏。まだ球団が決まらないまま1月も終盤に入ってきており、日本人選手の中では唯一、所属が決まっていない。しかしボラス氏の交渉スタイルからすると、これは「平常運転」といったところ。どこに決まるのか、楽しみに待ちたい。【水次祥子】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「水次祥子のMLBなう」)




