メジャーリーグには、多様なスラングがある。まさか「ミッキーマウス」にも意味があるとは、知らなかった。サンフランシスコ・ジャイアンツは18日(日本時間19日)、今季の試合観戦者へのプレゼントを発表。6月30日のドジャース戦(オラクルパーク)は「ディズニーランドデー」として、ミッキーマウスの耳付き帽子を先着1万5000人に配布するとした。これが、ドジャースとの「新遺恨になるのでは」と、米国で物議を醸している。

メジャーリーグで「ミッキーマウス」は俗に「楽勝」「簡単な勝利」のような意味が含まれるという。

話は、コロナ禍だった2020年にさかのぼる。ドジャースは公式戦60試合だった短縮シーズンにリーグ優勝。さらに7度目のワールドシリーズ(WS)制覇を果たした。同年のWSは、全試合が中立地テキサスにあるレンジャーズの本拠地グローブライフフィールドで、観客数を制限して行われた。ジ軍がドジャース戦でミッキーマウスの帽子を配布することは「短縮シーズンで移動もなく優勝したのは、例年と比較して簡単だった」と、揶揄(やゆ)しているという見方が浮上している。

ちなみに20年はNBAも、ディズニーワールドがあるフロリダ州で、移動のないバブル方式のプレーオフを行い、レイカーズが優勝した。これも「ミッキーマウスカップ」「ミッキーマウスリング」などと、からかわれることが多いという。

ドジャースのファンサイトは「どうせミッキーマウスの帽子を配るのなら、ドジャース戦ではなく、ディズニーランドに本拠地(アナハイム)が近いエンゼルス戦でやれよ」と、批判している。

ジャイアンツとドジャースは、昔から因縁が深い。両チームとも元はニューヨークに本拠地を置いており、西海岸の大都市に移転してきた。同じナ・リーグ西地区のライバル。ドジャースは11年連続でプレーオフ進出しているが、この間にWS優勝は1度だけ。ジャイアンツはプレーオフ進出こそ10年以降に5度しかないが、10、12、14年と3度WS優勝している。

ジャイアンツにとっては昨年末から、大谷翔平投手、山本由伸投手と、触手を伸ばした選手を次々にドジャースに奪われてきた。元々は日本人観光客が多かったサンフランシスコだが、大谷らの影響で今後もロサンゼルスが人気化するのは必至だ。皮肉のひとつも言いたくなる気持ちは分からなくもない。

ちなみに、13年のナ・リーグ優勝決定シリーズ第3戦での出来事。先制点の際、塁上で両手を頭上にかざして喜びを爆発させたゴンザレスの姿を、カージナルス先発ウェインライトが試合後「ミッキーマウスみたいだった」と皮肉った。だがゴンザレスは「ここは(ディズニーランドのある)LA。ミッキーマウスが似合うだろ」と笑い飛ばした。今年の6月30日に、どんな言葉の応酬が繰り広げられるか、注目したい。【斎藤直樹】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「斎藤直樹のメジャーよもやま話」)