メジャー7年目のドジャース大谷翔平投手が、ピッツバーグに初見参します。6月4~6日(日本時間5~7日)に、ドジャースは敵地ピッツバーグでパイレーツとの3連戦を行います。これまで韓国の高尺スカイドームなども含めて33球場でプレーしてきた大谷ですが、相手の本拠地では、最後の未踏の地となっています。
米東部ペンシルベニア州ピッツバーグ。3つの川の合流地点、いわゆる「黄金の三角地帯」に町は広がります。ニューヨークのマンハッタンにそびえ立つ摩天楼を連想させるような市街地。かつては「鉄鋼の町」として栄えました。
そこに1887年からナ・リーグの古豪パイレーツが本拠を置き、1903年に第1回ワールドシリーズ出場。1909年には初の世界一に輝きました。20世紀初頭に最高のプレーヤーとうたわれ、高価な野球カードでも有名なホーナス・ワグナーはじめ、幾多の大スターも輩出しています。
また、ピッツバーグと言えば、あの偉大なるベーブ・ルースが現役の最後に強烈な光を放った場所でもあります。35年に傷心のままヤンキースを去り、当時ボストンに本拠を置くブレーブスへ移籍。しかし、既に40歳になっていたルースは身も心も疲れ果て、最後の時が近づきました。
5月25日、敵地ピッツバーグのパイレーツ戦で初回、3回と2打席連続ホーマー。そして、7回に同地で誰も見たことのなかったという超特大ホームラン。現役最後となる通算714号はライトスタンドの屋根を越え、場外へ消えました。
それともう1人、「黒いルース」ことジョシュ・ギブソンが活躍した舞台でもあります。30年からニグロリーグのピッツバーグ・クロフォーズなどで17年間プレー。その黒人プロ野球リーグ史上最高のホームランバッターとして君臨し、ルースを超える通算800本塁打を放ったとも言い伝えられています。
そこで43年に地元パイレーツがギブソンの入団許可を求めました。それに対し、当時のケネソーマウンテン・ランディス・コミッショナーは「有色人種は黒人だけのリーグでプレーさせればいい」と言って認めず。以来、メジャーから誘いがないのを苦にして酒浸りとなり、早世しました。
このほどメジャー機構がニグロリーグの記録を統合すると発表しました。ギブソンは、メジャーでの生涯打率3割6分7厘を誇る「球聖」タイ・カッブに代わって3割7分2厘で歴代1位となり、長打率とOPSもルースを抜いて1位。ルースを超えるスラッガーとして、大きな話題にもなりました。
さて、2001年からパイレーツの本拠地球場であるPNCパークは、ライト後方に3つの川の1つ、アレゲニー川が流れ、川に打球が飛び込む場外ホームランで有名です。ちょうど、サンフランシスコの「スプラッシュヒット」と同じような趣向を凝らし、左のパワーヒッターにとって魅力的なターゲットとなっています。
パイレーツの報道関係者向けに発行するメディアガイドによると、本塁からアレゲニー川までライト線の最短距離で456フィート(約139メートル)です。開場以来24年間でアレゲニー川に飛び込む特大アーチは通算73本出ていて、最近では今年5月26日にブレーブスのマット・オルソンが打っています。
はたして、伝説の本塁打王ルースやギブソン縁の地で、大谷は自らの日本人記録を更新する27球場目のホームランが出るか? それがアレゲニー川に飛び込む「リバーショット」なら言うことありません。【大リーグ研究家・福島良一】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt's showtime!」)




