ドジャースが、ポスティングシステムを利用して米移籍を目指していた韓国プロ野球の金慧成内野手と3日、3年総額1250万ドル(約19億4000万円)で契約しました。2017年からネクセン-キウムと8年間で通算打率3割4厘、211盗塁をマーク。主に二塁手としてプレーし、4年連続ゴールデングラブ賞も受賞しています。まだ25歳と若い俊足巧打の左打者で、二塁以外に遊撃、三塁、外野も守りますが、その後レッズへ放出されたギャビン・ラックスに代わる正二塁手として期待されています。

このようにドジャースは、韓国人選手も獲得するなど多国籍球団として有名です。それは世界に野球を普及させたいピーター・オマリー元会長の考えから始まりました。1984年ロサンゼルス五輪で野球が正式採用されるために最大の努力を払い、当時のアイク生原会長補佐が右腕として働きました。

同時に中南米、特にドミニカ共和国での人材発掘に力を注ぎました。プロの卵の産地として注目される同国に、一早くベースボールアカデミーを開校。また、86年にはメジャーで85年ぶり2人目となるオーストラリア人選手として、クレイグ・シップリー内野手をデビューさせました。

やがて、アジア人選手の獲得にも乗り出し、95年にメジャー史上30年ぶり2人目の日本人選手として野茂英雄投手を獲得。野茂は当時、いくつもの球団と交渉を重ねた末にドジャースを選んだ理由について「オマリーさんがいたからです」と語っています。

日本人大リーガーのパイオニアともいうべき野茂が道を切り開き、ドジャースには石井一久投手、斎藤隆投手、黒田博樹投手、前田健太投手らが次々と入団。昨年は投打二刀流の大谷翔平投手に続き、日本のエース山本由伸投手も獲得。これまで日本人選手は、合計11人を数えます。

野茂が入団する前年の94年には、メジャー史上初の韓国人選手として朴賛浩投手がデビューしました。「コリアンエクスプレス」と呼ばれる剛速球を武器に、ドジャースなど17年間で通算124勝をマーク。野茂の123勝を超え、アジア人最多勝記録を塗り替えました。

その後もドジャースには、初の韓国人野手となった崔煕渉内野手、徐在応投手、柳賢振投手と次々に入団しました。中でも、崔は05年にアジア人で初めてホームランダービー出場。柳は19年のオールスターゲームで韓国人初の先発投手を務め、その年ナ・リーグ防御率1位、サイ・ヤング賞投票2位となりました。

98年には初の台湾人大リーガーとして、陳金峰外野手がデビューしました。その後も台湾から郭泓志投手、胡金龍内野手、曹錦輝投手と次々に獲得。郭は10年に台湾人で初めてオールスターに出場。救援投手として12セーブ、21ホールドの活躍を見せました。

今回は、デーブ・ロバーツ監督もほれ込む金が入団しました。決め手について、韓国メディアは「大谷が米国で金に会い、多くの助言をした。だから安心感があった」と報道。昨年11月にロサンゼルスの練習施設で、同じ代理人事務所に所属する大谷と会ったことを明かしていました。

加えて、金は「かつて朴賛浩さんや柳賢振さんがプレーし、とても親しみを感じていた」と移籍の理由を語っていました。やはり、ドジャースは、親しみやすい球団だったようです。そこには、偉大なるオマリー一族からの伝統である「アジアンコネクション」が脈々と受け継がれています。【大リーグ研究家・福島良一】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt's showtime!」)

ドジャースに入団した、金慧成(2023年3月7日)
ドジャースに入団した、金慧成(2023年3月7日)