2009年以来9年ぶりの世界一を目指すヤンキースの先行きが混沌としてきた。現地8日現在ヤンキースはア・リーグ東地区で首位レッドソックスに9ゲーム差をつけられている。しかしワイルドカード争いでは首位にあり、至上命題ともいえるワールドシリーズ制覇に向けてその意欲は高い。

 7月末のトレード期限前にオリオールズから16年に47セーブを挙げた救援左腕ザック・ブリトン、ブルージェイズから16年に自己最多の20勝をマークした先発左腕JA・ハップ、さらにツインズから通算79勝のランス・リンを獲得するなど投手陣を厚くする積極策に出ている。まさに今シーズンこそといったところだ。

 その一方で主要選手に故障も続いている。まずゲーリー・サンチェス捕手が先月24日、右脚付け根の張りを訴え10日間の故障者リスト入りした。20日に同じ怪我から復帰したばかりだった。23日のレイズ戦で全力疾走せず批判を浴びると「1回の時点で痛めた。その時は何も言わなかった。何とか乗り切り、チームを助けようと思った」と釈明している。

 さらには26日のロイヤルズ戦でアーロン・ジャッジ外野手が死球を受けて右手首を骨折し、やはり戦列を離れることとなった。チームは3週間程度での復帰を目指しているが、今季打率2割8分5厘、ホームラン26本、61打点の成績を挙げている強打者を欠くことの痛手は大きい。5日の時点でもジャッジは「まだ痛みと違和感がある」と話し、まだスイングできる状態になっていないことを明らかにしている。

 さらに投手陣にも故障の心配が出ている。クローザーのアロディス・チャップマンが8日のホワイトソックス戦10回3対1という登板機会にマウンドに上がることができなかったのだ。試合は13回の死闘の末4対3でヤンキースが勝利したが、アーロン・ブーン監督はチャップマンを起用しなかったことについて身体の痛みを訴えたためだとコメントしている。そのうえで5日のレッドソックス戦でチャップマンが39球を投げたため背中に痛みが出たとした。

 8日、チャップマンは「今日は良くなっている。背中は大丈夫。日曜の投球数から痛みが出ただけだ。その前4日間試合で投げていなかったしね。これが出ると回復に少し時間がかかる。今日は調子が良いから投げられる」とあくまで軽症で、既に回復していると強調した。今シーズン31回の登板で29セーブを挙げているチャップマンだが、オールスターゲームを左膝を休ませるため出場しなかった事実もある。

 戦力が揃ったようで、怪我という損失も出ているヤンキースは狙い通りワールドシリーズに進めるだろうか。