MLBはコロナ禍によって60試合に短縮されたレギュラーシーズンが終了し、16チームによるプレーオフに突入している。同時に注目されているのが来年以降もプレーオフが拡大されるかだ。

プレーオフは2012年から10チームが参加する方式がとられ、今年は臨時措置として16チームにまで拡大された。ロブ・マンフレッドMLBコミッショナーは来年以降もこれまでより参加チームを増加させることを望んでいると公言しているのである。「プレーオフを増やすというアイデアが好きです。最初に3回戦制というアイデアが好きです」と語っている。

なぜ参加チームを増やしたいのか。それは収益、とりわけテレビ中継の試合数が増えることによる放映権料収入の増加が期待できるからだ。例えば今年の場合、MLBはコロナ禍により30億ドルもの損失が出ると予想されている。その一方でプレーオフが16チーム制になることによって、これまで約7億8000万ドルだったその放映権料収入が10億ドル近くにまで増えると予想されているのだ。この増収を固定したいと考えるのはある意味当然かもしれない。

コミッショナーはチームの増加数について「12か14かは未定」と発言しているものの、14チーム制を希望していると報じられている。14チーム制で考えられているのは、両リーグで最高の成績を挙げたそれぞれ1チームは最初のラウンドを免除にするというものだ。最初のラウンドは3回戦制となり、最高成績チームはホームフィールドアドバンテージを得るだけでなく、勝ち上がってきた中で対戦相手も任意で選べるようにするとされている。これならば地区優勝だけでなく最高成績を得るためにレギュラーシーズンを最後まで力を緩めることなく戦うだろうという目論みなのだ。対してプレーオフを拡大するとレギュラーシーズンが現在の162試合から減る可能性も指摘されている。

チームのオーナー側は収益が増えることが見込めるため、このプレーオフ拡大案に「概ね協力的」ということである。

実際にプレーオフを拡大するには選手会の合意も不可欠だ。プレーオフが増えることでの選手の負担増や逆にレギュラーシーズンが減ったら年俸削減につながるのではといった懸念もある。現在の労使協定は来シーズン後に失効するので、今後の交渉の焦点となるかもしれない。

一方でファンはプレーオフ拡大をどう捉えているのか。専門誌ベースボールアメリカのアンケートでは7660人の回答のうち実に79パーセントが反対に投じた。また専門サイトMLBキャセドラルの同様のアンケートでも1万2064人の回答者のうち84パーセントが反対だった。負け越したチームが出場権を得る可能性などで反発も大きいようである。

こうした意識の乖離も浮かび上がる中でこの改革が進むのか注目される。