【サプライズ(米アリゾナ州)7日(日本時間8日)=佐藤直子通信員】レンジャーズは、ダルビッシュ有投手(28)のMRI(磁気共鳴画像装置)検査の結果が右肘内側側副靱帯(じんたい)部分断裂損傷だったと発表した。同投手は10日(同11日)にセカンドオピニオンを求めてニューヨークに行く。オープン戦初登板となる5日ロイヤルズ戦で、予定より早い1回12球で降板。6日にMRI検査を受けていた。今後は靱帯修復手術も選択肢となり、同手術を受ければ今季中の復帰は絶望的となる。

 当初の「右上腕三頭筋の張り」で済む軽症ではなかった。ダニエルズGMによると「患部は昨夏に炎症を起こした場所と一緒だが、重症度が違う」。昨年8月の負傷は靱帯の炎症で、線維そのものに損傷はなかった。今回は一部線維が断裂しているという。昨年11月下旬のMRI検査でも異常は見つからなかった。

 球団とチームドクターのマイスター医師は、今後について3つの選択肢を検討している。

(1)このまま投げ続ける

(2)昨季同様に肘を休ませた後でリハビリ治療

(3)トミー・ジョン手術

 (2)の場合、6週間ノースローとなり、試合復帰は最短でも4カ月後。(3)の場合は1年以上を要し、来季序盤となる。

 同GMは(1)について「賢明ではない」と否定的だ。(2)も(1)と合わせ「この2つの選択肢の問題は、避けて通れないもの(手術)を遅らせるのか、ということ」と消極的な姿勢を見せた。

 切れた靱帯線維は自然治癒しないという理由もあって、メジャーでは早期段階でトミー・ジョン手術に踏み切る場合が多い。レ軍は同手術に積極的で、12年には今季守護神候補のフェリス、昨年は若手左腕ペレスが手術に踏み切り、藤川のように手術から復帰を目指す投手との契約も多い。ダルビッシュの場合も、17年までの長期契約があり、球団は確実に(3)を想定している。

 ただし、決断するのはダルビッシュ本人。同投手はセカンドオピニオンを求めるため、10日(同11日)にニューヨークでアルトチェック医師(メッツのチームドクター)の診察を受ける予定。女子テニスのシャラポワの肩を手術した外科の権威による診察を参考に、最善の治療法を選択する。

 この日は約1時間ほどで球団施設を後にしたダルビッシュは「今季プレーできないようなら残念なこと。最終決断をする前にセカンドオピニオンなどすべての可能性を探りたい」と英語でコメントを発表。同GMは「望まぬニュースだが、何よりも気の毒なのはダルビッシュ自身」と気遣った。早ければ10日にも決断が発表される。